「キッチンカーで全国ボルシチツアーをやりたい」3.11福島・双葉町でコンサート
ウクライナの伝統楽器バンドゥーラ奏者のカテリーナさんが手料理を振る舞うイベント「ウクライナ料理と音楽の夕べ」を開いていることはこれまでお伝えしてきたが、カテリーナさんがぜひやってみたいことがあると言い出した。
「キッチンカーで全国ボルシチツアーができたらいいですね。全国各地の食材やお酒、塩など調味料を使ってボルシチを作り、みなさんをおもてなししてみたいです。そのツアーを撮影してユーチューブでみんなが見られたら楽しいですよね」
そしてこう言う。
「昨年は鹿児島県の奄美大島でウクライナ料理のイベントをやる予定でしたが、戦争が始まってしまったので中止になりました。今年は8月に北海道でコンサートが決まっていますので、ボルシチを作って地域の人に食べてもらえたらいいなって考えているんです」
スープが赤いボルシチはウクライナ語で野菜のビーツを意味する「ボル」に由来し、1800年代に今の形のボルシチになったのではないかといわれている。以前からウクライナ政府がユネスコに無形文化遺産の申請をしていたが、昨年のロシア侵攻により急きょウクライナの伝統的なスープとして登録されることになった。
「ウクライナでは地域によって赤い色を出すためにトマトを入れたり、リンゴを入れたりします。また、お肉は私はチキンを使いますが、牛肉を入れたり、肉ではなく魚を使うところもあります。でも、私は一番のうまみとなるビーツの味をメインにするのがおいしいと思っています」
ビーツは葉の部分までおいしく食べられる
真っ赤な色となる根菜のビーツは血流がよくなるといわれるヘルシー食材。カテリーナさんいわく、葉の部分まですべておいしく食べることができるという。一般的なスーパーではあまり見かけないが、地方の道の駅に行くと安く手に入ることも。
「ビーツを育てたことがありますが、意外と大変です。土の中で大きくなるので、苗がくっつかないように育てないとダメで慣れるまでうまくいきませんでした。でも、野外コンサートを開催した時に、収穫したビーツでボルシチを作ってふるまったら、ちょうど寒い時季で、炭火を使って大きな鍋で作った熱々をとても喜んでくれました」
毎年3月11日に東日本大震災の追悼で福島でコンサートを行うカテリーナさん。今年は双葉町で開催する。
「ボルシチを作っておもてなしする機会になるといいですね」と顔をほころばす。全国を回るボルシチツアーが実現し、動画で「ボルシチを召し上がれ」が配信される日が待ち遠しい。
連載の最後となるおもてなし料理は締めのデザートを。リンゴのパイ「シャーロット」を召し上がれ!
最後はデザートを召し上がれ!「シャーロット」の作り方
【作り方】
(1)リンゴを薄い柵切りにし、サラダオイルを引いたケーキ用の型に渦巻きに並べる
(2)卵(3個)と砂糖200グラム、フロストシュガー(小1)とベーキングパウダー(小1)を混ぜる。後から小麦粉(200グラム)をふるいにかけながら入れて混ぜ合わす
(3)②を①の上にかけるように入れる
(4)あらかじめ180度に設定したオーブンで30~40分焼く。焼き目がついたら出来上がり
▽カテリーナ 民族楽器・バンドゥーラ奏者。1986年、ウクライナ・プリピャチ生まれ。生後30日の時にチェルノブイリ原発事故で被災。6歳の時にチェルノブイリ原発で被災した子供たちで構成された音楽団入団、海外公演に多数参加。日本にも招聘され、19歳の時に音楽活動の拠点を日本に移し活動している。