うつ、不登校、学力低下はスマホが原因…受験生も使い方で脳や心が蝕まれると判明
大学入学共通テストが終わり、大学受験がスタートした。今後、各地で中学や高校の試験も迫っている。本格的な受験シーズン到来だが、気になるのがスマホの影響だ。いまの受験生の生活にはスマホが欠かせない。その使い方で、脳や心がむしばまれることが分かってきたという。
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関西に住む中学3年の女子学生は小学4年のときに受けたイジメがキッカケで不登校に。両親は「荒れた地元の学校ではなく、私立の進学校なら環境もいいし、将来の大学受験にも有利なはず」と考え、学校への登校は最小限にとどめ、進学塾での勉強を中心に据えることにした。
自宅では塾の勉強の予習復習に励み、塾での成績は安定。子供の気持ちも落ち着くかと思っていたが、そうはいかなかった。受験勉強のストレスか、娘は小学6年の夏ごろから頭痛や頭重感に悩まされるようになり、さらにめまいや吐き気、理由のない不安感も重なって、全身の倦怠感もひどくなった。
小児科や精神科、脳神経外科など15の病院を回ったが、諸症状の薬を処方されるだけで、一向によくならない。やがて何も意欲がなくなり、自殺願望が芽生え、受験勉強もどうでもよくなったという。娘のピンチで両親が頼ったのが、東京脳神経センターだった。松井孝嘉理事長が言う。
「女子生徒の診断名は、起立性調節障害でした。小児科医や精神科医にとってはありふれた病気ですが、女子生徒がそうであったように、頭痛には鎮痛剤、うつ症状には抗うつ薬、不眠症には睡眠薬といった具合に対症療法でお茶を濁す医師が珍しくありません。この病気の根本は首を通る自律神経が圧迫されることですから自律神経を治療することが不可欠なのです」
自律神経は、肉体的にも精神的にもあらゆることにかかわる。女子生徒がめまいや吐き気、不安感、ひいてはうつ的な気分の落ち込みから自殺願望をこじらせたのも、そのためだ。では、なぜそのようなことが起こるのか。松井氏に対策を含めて詳しく聞いた。
「スマホやタブレットの影響がとても大きい。この女子生徒は自室にこもって勉強もしていましたが、空いた時間はスマホでゲームやSNSを続けていたのです。これによって首から肩にかけての筋肉が凝り、その中を通る自律神経が少しずつ障害されていったのです。子供の不登校や自殺の陰には、必ずといっていいほどスマホやタブレットが影響しています」