会社の「役職定年制度」は戦力外通告なのか…意欲とスキルが低下する50代からどう働く?
昨今は日本企業でも年功序列、終身雇用が崩れ始め、給料が高いのに働きが悪いと見なされた中高年社員は、若手から“働かないおじさん”と揶揄される始末。60歳、会社によっては65歳で定年退職する以前に、役職定年制度を導入している民間企業は16.4%に上るという。役職定年後、年収が半分以下になるケースは約4割。
一般的に出世ルートから外れた社員に適用されるイメージがある「役職定年制度」とは一体何か。経済アナリスト・馬渕磨理子氏と、マーケティングアナリスト・渡辺広明氏の共著「ニッポン経済の問題を消費者目線で考えてみた」(フォレスト出版)から抜粋して紹介する。
■同期で役職定年を免れたのは何人?
定年退職よりも前の時期に、部長や課長などの管理職から外れる「役職定年制度」。人件費の削減や組織の新陳代謝などが目的で、55歳前後で役職定年を迎えることが多い。
2023年度からは公務員の定年(60歳)が段階的に引き上げられ、2031年度以降に65歳定年制に完全移行する。これに伴い、公務員でも役職定年制度が導入される見通しだ。
渡辺 僕は今55歳ですが、55歳って役職定年の年齢なんですよ。人事院『民間企業の勤務条件制度等調査(平成 29 年度)』によれば、役職定年制度を導入している民間企業は16.4%。大企業ほど導入しているケースが多く、500人以上の企業では30.7%が導入しています。
ちなみに、僕がバブル期にローソンへ入社したときの同期は130人弱いました。そのうち半分は女性を中心とした事務職で、残り半分が総合職です。さて、この総合職60人のうち、役職定年を免れたのは何人だったと思いますか?
馬渕 えーと……5人くらいですか?
渡辺 正解は2人です。
馬渕 うわ、少ない!
渡辺 役員になった2人だけなんですよ。それ以外は特別の処遇がない限り、役職定年を受け入れるか、僕みたいに辞めちゃうかです。僕がローソンを退社した理由の1つは、「どうせ自分は役職定年に引っかかるだろうな」と思ったからです。
役職定年になると、年収がガクッと落ちます。ダイヤ高齢社会研究財団によれば、役職定年後に年収減になった社員は9割以上で、全体の4割は年収50%未満になっているそうです。その上、部署異動がなければ、それまで部下だった人間が自分の上司になります。
馬渕 めっちゃ、モチベーション下がりますね。昔ならまだしも、今の55歳って現役バリバリじゃないですか。