岸田首相「増税検討指示」って…総裁選で言い切った“消費税は10年上げない”発言は何だったのか?
「(消費税は)10年程度は上げることを考えていない」「すぐに増税で財政を埋めることは考えていない」
約1年前の2021年9月18日の自民党総裁選の候補者討論会で、こう言い切ったのは岸田文雄首相(65)だったが、果たして、この言葉を信用した国民が悪いのか。2027年度時点で1兆円程度の税収増を目指す岸田首相が8日、与党幹部に増税の具体策を検討するよう指示する、と報じられた。
増税検討の目的は防衛費だ。岸田首相は2023年度から5年間の防衛費総額を約43兆円とする方針を示し、これを受け、自民、公明両党が7日、国家安全保障戦略など3文書改定に向けた「外交安全保障に関する与党協議会」の会合を国会内で開いた。その結果、歳出削減や決算剰余金などで対応することを優先しつつも、それでも足りない分は増税で対応する方針を確認したという。
防衛費の大幅増額を巡って、首相は8日、「個人の所得税の負担が増加するような措置は行わない」と明言、そのため法人税が有力視されているが、経団連の十倉雅和会長は「(負担は)広く薄く偏らずが基本だ」などと反発している。27年度は1兆円の税負担増でも、今後はどうなるかもわからない。抑止力競争になれば、大増税を余儀なくされかねない。そうなれば、今回の増税がアリの一穴になり、消費税や所得税にしわ寄せがくる可能性は十分ある。歳出削減で社会保障にどんなしわ寄せが来るかもわからない。ただでさえ実質賃金が下がり続け、物価高にあえぐ庶民には死活問題だ。そもそもなぜ、防衛費が「43兆円」なのか。その根拠だって何ら示されていないのだ。