ヨットで世界一周 心の底からやりたいと思うことに理由はない
1945年8月15日のことは今でも鮮明に覚えています。
当時は夏の暑い時期だったのに、夏休みではありませんでした。空襲やら何やらで勉強をする時間が足りなかったのか、その日も学校に行っていました。小学校1年生で、学校帰りにトンボ捕りに出掛け、自宅に戻ったら母から「日本は戦争に負けたよ」と聞かされたのです。
両親は毎日、ラジオを聴いていて、スピーカーからは大本営発表が流れていました。「敵の飛行機を何機やっつけた」という情報が耳に入ってくるのですが、「毎日、同じ話をしているなぁ」と思いました。実際に撃ち落とした飛行機は10機だったり、20機だったりしたはずなのに、同じことを言っているようにしか聞こえなかったのです。「ラジオで『日本軍が絶対勝つ』と言っていたのに負けたんだ」と思ったのをよく覚えています。
敗戦が人生に影響することはありませんでした。まだ小学校1年生でしたから。戦後は戦地に赴いた人の話を聞くわけですよ。その人は、いかに自分が勇敢に戦ってきたかという話をします。それで話の最後に「若いヤツが戦うのは無理だろうな」と決まって話すのですが、「そんなことないよ」と心の中で思いながら聞いていました。