姫田小夏
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姫田小夏ジャーナリスト

上海財経大学公共経済管理学院・行政管理学修士(MPA)。中国ウオッチは25年超、うち約15年を上海で過ごす。アジア・ビズ・フォーラム主宰。日刊ゲンダイでの連載などをもとに「ポストコロナと中国の世界観」(集広舎)。

習近平3期目 街場に響く経済危機の足音(上)外弁慶の習総書記には地方や中小企業の“異変”が見えていない

公開日: 更新日:

「習は何を考えているのか」──。最近まで「祖国万歳!」に振れていた人々もだんだん嫌気が差してきたようだ。一定の教育を受けてきたエリート層を中心に“習離れ”は進む。

■悪化を招いたロックダウン

 中国経済を牽引してきた華東地区。安徽省合肥市に住む鄭氏(仮名)は、近年、国家公務員を辞めて起業した部品工場の経営者だった。公務員時代の人脈を利用すれば一獲千金も容易と踏んだのだろうが、「これ以上続けられない」とついに音を上げた。周囲にも同じような零細・中小企業が無数にあるが、「それらもバタバタと倒れている状況だ」という。輸送の遮断や原料の上昇に原油供給量の不足と人件費上昇が加わり、経済環境は悪化の一途。「ここまでの悪化を招いたのは上海のロックダウンだ」と鄭氏は断じる。

 先月下旬の第20回党大会開催中、鄭氏の住む合肥市はオミクロン株の感染拡大を防ぐために住民管理の強化を発表した。「封鎖されるのか」という不安が広がり、一部の市民がスーパーに殺到、食品を奪い合った。“上海大封鎖”に見たあの“無意味な大混乱”はいまだに終わっていない。

 同じく華東地区・浙江省の国営金融機関に勤務する朱氏(仮名)は「オミクロン株など怖くないのに、2日に1回はPCR検査。なぜここまでやるのか」とSNSで用心深く訴えた。封鎖状態にはないが、生活半径は狭まり、半ば軟禁にも等しい状態だ。

 前回、朱氏とチャットをしたのは今年2月。当時、朱氏は「コロナ封じ込めに成功」した中国を礼賛してやまないひとりだったが、党大会を前後して態度は一変した。“自分をだます”のも限界に達したようで、コロナ下でも自由に活動できる日本人を心底羨ましがった。

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