「女性のがん検診」は男性が“壁”になっている 生理休暇を阻む構図と重なる
がんの中には、男女共通のものもあれば、そうでないものもある。乳がんや子宮頸がん、子宮体がんはほぼ女性のみだ。では女性特有のがんは、男性に無関係かというと、そうでもないという。
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東大大学院医学系研究科総合放射線腫瘍学講座は、女性の健康情報サービス「ルナルナ」を運営するエムティーアイと共同で子宮頸がんに関する意識調査を実施した。先月21日発表した調査結果には、興味深いことが浮かび上がる。
「子宮頸がん検診を知っていますか」の質問に、「検診を受けたことがある」は全体で78.6%。8割近いが、これを年代別にみると30代以上は8割超をキープしているものの、20代は56.3%と全体を約20ポイント下回る。
「検診を受けたことがある」人には、その頻度についても質問。「20~21歳から定期的に(2年に1回ずつなど)受けている」はわずか35.5%にとどまっている。
子宮頸がんは、胃がん、大腸がん、肺がん、乳がんと並ぶ5大がんの一つ。その5つは、検診を受けることで死亡率が下がることが証明されていて、検診受診が推奨されている。しかし、この調査結果が示すのは、子宮頸がん検診を知っていても、あまり受診に結びついていない現状だ。
東大病院放射線科の中川恵一特任教授が言う。
「子宮頸がんを含む婦人科のがん検診受診率は、男女共通の3つのがんに比べて明らかに低いのです」
がん対策推進企業アクションは、厚労省の委託事業で加盟する企業や団体にがん対策を手ほどきしてがん検診受診率の向上を狙いとする。中川氏はそのアドバイザリーボード議長でもあり、加盟企業のがん検診受診率を調査したという。中川氏が続ける。
「子宮頸がんと乳がんの受診率はそれぞれ35%と44%。肺がん75%、大腸がん65%、胃がん51%と比べるととても低い。中小企業はさらに深刻で、がん対策推進企業アクションと大同生命が2020年と2021年に共同で中小企業のがん検診事情を調査したところ、子宮頸がんは10%、乳がんは13%だったのです」