「ゲームばかりしていると知能が上がる」は本当か? 記憶力アップの研究結果が米国で発表
テレビゲームを1日3時間以上する子供は記憶力が高い──親が聞いたら卒倒しかねない研究結果が米国で発表され、大きな話題になっている。ゲームをする子は知能指数が高いといった報告も相次いでおり、「うちの子はゲームばかりして、勉強をしない」と頭を抱えていた親にとって驚天動地となりそうだ。
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■1日3時間以上のプレーで記憶力アップ
「日常的にゲームで遊ぶことが高い認知能力をもたらしたとまでは言えないが、有望な結果であり、さらなる調査を進める必要がある」
こう話すのは、10月24日、「ビデオゲームと脳の認知機能向上の関連」という論文を発表した米バーモント大学のバーダー・チャーラニ助教(精神医学)。米国の小児に関する長期研究であるABCD調査(思春期脳認知発達)に参加した9~10歳の子供約2000人について検証したところ、テレビゲームを1日3時間以上する子供は、情報を記憶する能力と決断のために行動を制御する能力が高いことが分かった。
頻繁にゲームをしている子供は「考える」「記憶する」「アイデアを出す」「感情をコントロールする」などをつかさどる脳の前頭前野の活動が活発だったという。
「一部の親はゲームをすることで子供が暴力的、攻撃的な行動に走ると心配していますが、むしろその逆でゲームをする方が感情を制御する力がつくというのですから、これまでの概念が根底から揺らぎます」(ジャーナリスト・中森勇人氏)
■IQが2.55ポイント髙い
さあ、困った……。日ごろガミガミ言っている親としては、今回のこうした研究報告が1つだけなら「そうは言っても……」と聞き流すこともできるが、今年5月にも「ゲームをするとIQ(知能指数)が上昇する」という論文が出ている。
スウェーデンのカロリンスカ研究所の教授らが、やはり米ABCD調査の9~10歳の9855人のデータを基に、2年後に追跡調査できた5169人の11~13歳の子供を調べたところ、平均(約1時間)よりゲームをした子供は「IQが2.55ポイント高い」ことが明らかになった。この結果は、家の経済状況や親の教育レベルなどを考慮しても変わらなかったという。
同調査は、分野別に子供が画面を見ている時間の認知能力についても調べている。子供は平均で毎日4~6時間、「ビデオゲーム」「テレビなどの動画」「ツイッターやインスタグラムなどソーシャルメディア」の画面を見ているが、ビデオゲームが知能と“正”の相関があるのに対し、テレビ視聴とソーシャルメディアについては“負”の相関、または変化なしだった。
もっとも、同調査はあくまでも相関関係を示しただけで、〈ゲームをしたから頭が良くなる〉といった因果関係を証明したわけではない。