「60代からの資産防衛」で物価高、超円安時代を生き抜く 専門家がアドバイス
60代以降のリタイア世代は税制優遇のある「つみたてNISA」など金融商品のメリットを最大限に生かせない。長期投資が前提なだけに、高齢者には「やさしくない商品」だからだ。年金は増えず、物価は上昇を続ける。60歳を過ぎてからの資産管理はどうすればいいか。専門家にアドバイスしてもらった。
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60歳の定年を前に会社(電機メーカー)を辞め、現在は食品スーパーで早朝アルバイトをしているAさん(63歳)が嘆く。
「テレビで値上げのニュースを見るたびにタメ息が出ます。10月以降はある程度落ち着くのかと思っていましたが、とんでもなかった。実質値上げ、再値上げが相次いでいます。幸いなことにウチのスーパーは従業員割引が実質5%あるので助かっています。ただ、朝6時半からの勤務。体力的にはキツイですね……」
先週も値上げのニュースが続いた。日清製粉ウェルナはパン粉やパスタなど119品目を来年1月4日納品分から約2~25%値上げ。穀物や包装資材費などの高騰、円安が要因だ。外食の「餃子の王将」は11月19日から35品目で価格を上げる。5月に続く再値上げだ。
いったい物価上昇はいつまで続くのか。
「40代から始める 攻めと守りの資産形成 人生GDPの増やし方」(日本経済新聞出版)などの著書があるニッセイ基礎研究所(金融研究部)の井出真吾上席研究員はこう話す。
「緩やかな物価上昇は続くでしょう。公的機関や大手シンクタンクなどの調査を見ると、日本の物価は0.5~1%程度の上昇と予測されています」