無頼派生物学者・池田清彦さんに聞く「晩年を楽しく生きるため」の9つのルール

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 独自の人生論を次々に出版して評判の生物学者の池田清彦さん(75歳)。晩年の過ごし方のコツについて聞いた。

 ◇  ◇  ◇

【その1】「いいひと」だと思われようとしない

 騙されないためには本当の知性を身につけるべきと主張されています。

「まず重要なのはもっと自分にわがままになれということ。日本人って人がいいから自分がイヤでも頼まれると引き受けちゃうんだよな。自分がいい人だと思われたいとか。それって騙される典型的なパターンだよ。さらに一度、人にいい人だと思われると今度は断りきれなくなっちゃう。

 たとえば新興宗教の勧誘でも友だちから『会合に来てください。あなたを好きな人が多いんですよ』などと言われて行ってしまう。勧誘の電話がかかってきても切るのが悪いからとなんとなく話してしまって騙される。ぼくは0120から始まる番号なんか出たことない。付き合っちゃうと騙されるんだ。

 友だちから電話もなく孤独だとついつい取り込まれてしまうことがあるよね。骨の髄まで人のためになるのはいいことだと信じ込んでいる人も騙されやすい。利他主義はヤバイよね」

【その2】過度な利他主義は権力の思うツボ

「利他」という思想は最近はやりだ。「カリスマ」と持ち上げられた京セラ創業者の故・稲盛和夫氏が広めたことでも知られている。

「だれかのために自分を犠牲にするのは特攻隊と同じ。SNSでも人助けの話がやたら共感されているけど危険な兆候だよね。会社でも残業して身を粉にする人間はいい人間、残業代をよこせというのはわがままな人間って話になりかねない。だけど実際はこの国でトップの人間が一番わがまま。

 そもそも国家は幻想です。国家の実態は実は時の権力者のことなんですよ、国家のために戦えとプーチンは言ってますけど、本当は俺のために戦えと言っているわけです。どこかの宗教みたいにサタンをやっつけるためだなんて一番怪しいタイプ。そういう話に騙されないためには過度な利他主義は警戒したほうがいい。

 それにはいい話にできるだけ感動しないこと。利他主義に利用されるから。年寄りは感情の起伏が激しくなって涙もろくなっているんだから、感動しちゃだめなんだよ。僕なんか、ほとんど泣かないよ。感動させようとしている狙いには注意したほうがいいんだよ」

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