完全予約制の超人気店「とんかつ成蔵」 常識覆す“白い衣のとんかつ”誕生秘話
とんかつ成蔵(東京・南阿佐ヶ谷)
人呼んで「白い芸術」。それはまるで白雪のごとき衣、しっとり桃色の肉は分厚いのにスッと歯が入る軟らかさ。くう~うまいよぉ。カリッとキツネ色が定番だったとんかつの常識を覆し、サクッと軽い白い衣で業界に新風を吹き込んだ「とんかつ成蔵」の名物かつである。そう、テレビのグルメ番組でもおなじみのあのとんかつ専門店だ。
「狙って白くしたわけじゃないんです。きれいな油を使い、低温でじっくり揚げたらこうなった(笑)」
そう笑うのは2010年に高田馬場で開業したとんかつ屋を行列店に成長させたレジェンド、店主の三谷成藏さん(51)だ。現在、創業地の店は弟子に任せ、より高みを目指して自身は南阿佐ケ谷に移転。こちらは予約制だが、またもや客が殺到する超人気となっている。そんな彼が、当初は空の一斗缶に座ってひたすら客を待っていたなんて信じられるだろうか。
どん底から大行列店になるまでの秘密はいかに?
「大学を出て一度は百貨店に就職しましたが、昔食べたとんかつのおいしさが忘れられず、24歳で飲食の道へ。親戚が営んでいた店に入り、35歳ごろまで働きました。割烹などでも修業して、とんかつ屋として独立したのですが、お客さんが全然来なくて」
え、元デパートマンだったの? しかも独立後は1日1組さえ来ない日もあるジリ貧生活。それが何と3年も続いたという。マジか……。