「参加型出版」で小説を上梓…きっかけはヨガ教室の集客に使用したSNS
青海エイミーさん(年齢非公開)本業=ヨガの先生/副業=参加型出版での小説の執筆
青海エイミーさん(年齢非公開)は大学卒業後、オンライン教育事業などの仕事を経て、東日本大震災をきっかけに人生を見つめ直そうとマレーシアに移住。マレーシアでヨガの先生の資格を取得し、生徒獲得のためにnoteを書き始めたのが小説家になったきっかけ。
「マレーシアにいた頃はペナンに住んでいました。家の近くのヨガスタジオで5、6クラスを担当していて、30人から40人の生徒がいました。途中からコロナ禍でオンライン授業になったので、日本在住の方も参加できるようになりました。集客をしようと、フェイスブック広告などを打ったのですが、あまり効果はなく、もっと自分の考えやストーリーなどを書きやすいメディアのnoteを活用しようと思ったんです」
エイミーさんのnoteのフォロワーは約1400人、一番読まれている記事で「スキ」の数は約900だ。記事「運動も英語も苦手な私が、日本人一人の海外トレーニングに行ってみた→思ったより100倍辛い」などでは、若さ、スタイルの良さ、ヨガやダンスの経験、運動神経の良さなどがなくてもヨガの先生になることができて、生徒も集められるようになった話が書いてある。ざっくばらんな語り口が人気だ。しかし、自分の正直な考えや感覚を書いているうちに、ノンフィクションだと書きにくいことも多いと次第に小説を書く構想を始めたそうだ。
「自分の本質を出しにくい世の中だなと思っています。どこに勤めている、どんな資格を持っている、結婚している、子供がいるなど、記号化されたものの見方から離れたくてフィクションの世界に向かっているのだと思います。フィクションの世界では、心の底から思っていることを書ける。そっちの方が私にとってはリアルです」
エイミーさんが書き出した小説のタイトルは「ジミー」。一見普通だが、心に社会との関係性、ジェンダーやルッキズムなどの葛藤を抱える女子高校生マイが、帰国子女の男子高校生ジミーと出会うところから物語は始まる。書籍の出版元となったメタ・ブレーン社の太田順子氏の目に留まり、初版2000部で今年の5月に出版となった。本の制作には、元ロッキング・オン編集者の橘川幸夫さん、デジタルクリエーターの平野友康さん、「Zoomオンライン革命!」著者の田原真人さんらもサポートしている。