日本初の欧米出身議員ツルネン・マルテイさんは今…フィンランド出身、サウナが元気の源
ツルネン・マルテイさん(82歳)
環境問題や食糧問題を訴え奮闘していた日本初の欧米出身議員がいたことを覚えているだろうか。フィンランド出身のツルネン・マルテイさん。1992年に神奈川県の湯河原町議会議員に、2002年に参議院議員になり注目された。ツルネンさん、今どうしているのか。
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ツルネンさんに会ったのは、鎌倉市内の一軒家。ウオーキングストックを杖に現れたツルネンさん、まずはこう言った。
「4年前に腰椎を痛めてしまいました。さらに膀胱がんが見つかり腹腔鏡手術を受けましたが次の年に再発し、去年12月からこの2月まで抗がん剤治療を受けました。すると、副作用で頻尿になってしまい、これは治るのかどうか……」
膀胱に尿がたまってくると痛むため排泄しなければならないが、この4月からは自力で排尿不能に。毎回、カテーテルを挿入して排泄しなければならないのだという。
「1日に30回、夜中もやらなければならないので、満足に眠れずやっかいです。それでも、料理上手な元看護師の家内のおかげでご飯がおいしく食べられているし、毎朝外を散歩して体力維持にも努めています」
故国伝統のサウナも元気の源。09年に湯河原から転居して建てたこの鎌倉の自宅は、フィンランドからの輸入木材で造ったログハウスで、サウナが備えられているのだ。
「2日に1回、入っていますよ。2階には会社勤めの息子夫婦と小学校5年生の孫娘が住んでいるので、よく一緒に食事をしています。娘は藤沢へ嫁いで、5歳の男の子の育児中です」
ツルネンさんは13年に政界を引退後、幸子夫人とともに自宅の前庭で、自然農法で野菜を育てるほか、自伝本を執筆しフィンランドでも話題に。その自伝本を日本語に訳して17年に「使命」のタイトルで出版。さらに、この1年半の間は病と闘いながら、フィンランドの純文学作品の日本語訳に注力してきた。
「女性作家が書いた『マルガリータ(真珠貝)』という、2年前に出版されてベストセラーになり、フィンランドで一番有名な文学賞を受賞した小説です。豊かな文学的表現を日本語にするのに苦労しましたが、脳のいい訓練になりました(笑)。家内に2次翻訳をしてもらい、先月、ようやく完成。これから出版社を探そうというところです」
故国で暮らす、前妻との間の1男2女とも両国を往復しながら交流を続け、孫は計7人。うち1人は政治を学び、この秋に上智大学に留学予定だそうだ。