「スタンド」(京都・京極)店名の由来は観客席 相席がルールの愉快な居場所

公開日: 更新日:

 巨大な大理石カウンターが目に飛び込む。片側に10人、対面に10人の20人掛け。昭和2年の創業時から95年間も活躍している国産の天然物だ。

 阪急京都線の京都河原町駅から徒歩2分。「これ、珍しいでしょ」。居酒屋「スタンド」の3代目・杉山貞之さん(59)が自慢する理由は、年代物のマンモス大理石ということだけではない。実は、見知らぬ客同士の出会いの席だったのだ。

「店の特徴は相席スタイル。必ず『ウチはご相席ですよ~』と案内しているんです。1人で来る常連さんも、あの店に行けば誰かおるやろと、相席を楽しんでいますよ」

プライバシーには立ち入らないのが「相席ルール」

 ならば突撃するしかない。「ご相席、失礼しま~す」。いわしフライをつまみ、皿にのった升酒をちびり、ちびりとやっていたXさん(写真下)。東京・浅草出身で、今はリタイアした身だとか。

「ここはいいよ。ゆっくりと落ち着ける。京都で一番の店だね。もう40年も通っているんだ。いつでも話し相手がいるし、テレビも置いてある。ほんと、時間を忘れるよ」

 壁にもたれ、宙を見つめ、マスクを外して一合升に口をつけるのは数分おき。Xさんが思いを巡らせているのは自らの人生か、家族との記憶か。いや、余計なことは聞かなくていい。仕事、学歴、家庭、お金……。プライバシーには立ち入らないのが相席ルールだ。

体の芯からまったり

 初代がつけた店名の由来は観客席。野球場や競技場などのように、多くの客がやって来るよう願った。3代目は「立ち飲み屋ではありませんよ」と笑った。

 名物はクリームソーダのアルコール割り(各種650円)。「ボクが考案したオリジナルメニューです。日本酒、焼酎、ウイスキー、ワインのうち、好きなもので割る。デザートにもぴったりですよ」と誇らしげだ。

 相席カウンターで一杯やりながら仲間を探す。いなければ、テレビを眺める。時の流れに身をまかせ、体の芯からまったり。愉快な店である。

(住)京都市中京区新京極通四条上ル中之町546
(tel)075-221-4156
(営)正午~午後9時15分(火曜休み)
 生ビール550円、赤ワインハイボール550円、自家製コロッケ750円

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