【タラ肝】実は夏が旬! 100g30円で最高の冷酒のお供
タラは漢字で「鱈」と書く。字に「雪」とあるように、冬の味覚の代表格だ。だが、釣り人の間では「夏鱈」と言われ、実はこの時季のタラこそ「冬よりうまい」と珍重される。冬の産卵期には白子や真子(タラコ)に取られる栄養が、身に凝縮するためだ。うまみが濃く、しかも、需要が少ないから冬より安価。鮮魚店に並んでいるのを見つけたら、「時季外れだからな」などと敬遠せず、迷わず「買い」なのだ。
ということで、7月上旬の過日、東京・築地の鮮魚店を訪ねたら、あった! 切り身を選んでいると、「おっ、お客さん物の価値を知ってるね。そうだよ、夏のタラはうまいんだ」と威勢のいい店のオヤジさんに声をかけられた。続けて、「これも持ってきなよ!」と差し出してきたのが、30センチ×20センチのトレーからはみ出さんばかりの立派な「肝」だった。値段はなんと150円! 持ち帰って自宅で量ってみたら488グラムもあった。
「甘辛く煮つけてもいいし、天ぷらやフライにしてもいい。アン肝と同じ要領で蒸してポン酢で食べてもうまいよ」
そう言うオヤジさんに教えてもらったのが、今回のレシピだ。
下処理に多少の手間はかかるが、難しいことはない。
「肝を蒸して粗熱をとったら、冷蔵庫に入れて冷やす。そのときに出る脂が独特のにおいを放つけど、きれいに拭き取れば大丈夫。ポン酢をかけて食べれば、アン肝とはまた違った、ねっとりとうまみの濃い、最高のツマミになるよ」
オヤジさんの言う通りだった。100グラム30円のタラの肝が、冷酒の最高のアテになった。
(日刊ゲンダイ編集部)
【材料】
・タラの肝…300グラム
・日本酒…適量
・塩…適量
・ポン酢…適量
・もみじおろし…お好み
【作り方】
(1)タラの肝を濃いめの塩水に10分ほど浸した後、表面を覆う薄皮を剥ぎ、血や汚れを洗い落としながら、血管を丁寧に取り除く(写真①)。
(2)塩をひとつまみ入れた日本酒に①を30分ほど漬け込む。
(3)②の水分をキッチンペーパーで拭き取り、丸い棒状に成形しながらアルミホイルで包む。両端をキャンディーのように絞ったら(写真②)、竹串で表と裏に5カ所ずつ穴を開ける。
(4)③を蒸し器で30分から40分蒸す。
(5)④の粗熱をとり、冷蔵庫に入れて冷やす。
(6)冷蔵庫から取り出し、余分な脂を拭き取り、1センチ幅に切って盛り付け、ポン酢ともみじおろしをかけたら完成。