【乾パンでチャンプルー】防災グッズ見直しの副産物で夏らしい一品
6月だけでも徳島、石川、北海道、熊本と震度4以上の地震が相次いでいる。防災グッズの見直しをしたら、賞味期限をはるかにオーバーした乾パンと目が合った。実は2年前のコロナ発生当初にも一度、目が合っていて、「ま、いっか」と見て見ぬふりをした負い目が、暑さとともに襲いかかって来る。ゴメンナサイ。
今回は観念し、「乾パン レシピ」でネット検索すると乾パンを「麩」に見立てたチャンプルーを発見。暑くて買い物に行く気はとうに失せている。冷蔵庫の中身と相談し、アレンジして作ってみることにした。どんなものも最後までおいしく使い尽くす──これも立派な始末料理である。
麩の主原料は小麦特有のタンパク質からできるグルテン。栄養価が高く、非常食の乾パンとは類似点も多い。調理方法も麩と似通っていて、決め手は「急がずに戻す」こと。
料理は段取りが命。乾パンに水を含ませ、ふやかしている間に他の材料を切ればいい。中途半端に残っていた野菜をザクザクと切っていると、10分経つ頃には乾パンはグングンと水を吸い、ひと回り近く大きくなっていた。
味付けは塩昆布と、最近ハマっているナンプラー。豚バラ肉の脂のうまみも大事な調味料となり、味見の段階で「う、うまい」とつぶやいてしまった。残り半分の乾パンでまた作ろう。缶の中に一緒に入っていた氷砂糖はそのまま口に放り込んだり、煮物料理に使ったり。
フライパンから器に盛りつけていると、長引く通信障害で公衆電話のボックスに駆け込む人が多かったというニュースが聞こえてきた。
湯気が立つチャンプルーの上ではかつお節が踊っている。缶ビールを開ける前に、防災リュックのポケットに数枚の10円玉を忍ばせた。
(日刊ゲンダイ編集部)
【材料】
・乾パン…2分の1缶
・卵…2個
・豚バラ肉…70グラム
・たまねぎ…2分の1個
・ピーマン…1個
・にんじん…2分の1本
・しめじ…3分の1パック
・塩昆布…15グラム
・塩、ナンプラー、かつお節 …各適量
・サラダ油、ごま油…各適量
【作り方】
(1)深めの平皿などに乾パンを並べ、水(分量外)に浸して10~15分おく。途中で裏返す。
(2)肉と野菜はそれぞれひと口大にカットしておく。
(3)両手で①を挟み、やさしく水気を切る。
(4)ボウルに溶いた卵と塩を入れ、③を加え、軽く混ぜ合わせる(写真①)。
(5)熱したフライパンにサラダ油を入れ、豚肉→野菜の順に加え、中火で炒める。
(6)火が通ったら、フライパンの端に④を卵液ごと加え、焼きつける。
(7)塩昆布、ナンプラーを加え、全体を炒め合わせ、ごま油を回しかける。
(8)器に盛り、かつお節をたっぷりかけて出来上がり。