岸田政権また愚策…酷暑8月の「節電ポイント」開始で高齢者の命を危険にさらす
高齢者がバタバタ倒れるのではないか──。前日の関東甲信、東海などに続き、28日は近畿など西日本各地で梅雨明けが発表され、東北以外全てで梅雨明けとなった。過去最短の梅雨が終わり、長~い「酷暑の夏」に突入する中、松野官房長官は「節電ポイント」を8月中に開始すると発表。「酷暑に節電」は高齢者の命を危険にさらすだけだ。
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節電ポイントは、先週の物価・賃金・生活総合対策本部の初会合で岸田首相がぶち上げた“目玉”政策。電気代の負担軽減と節電推進を狙った「一石二鳥」の奇策だ。電力会社の節電プログラムに参加登録すれば、2000ポイントが付与される。また、国は電力会社が各家庭の節電量に応じて支給するポイントをさらに上乗せする。
しかし、このクソ暑い中の節電は健康上、問題がある。公明党の山口代表も「いま心配なのは暑さだ。無理して節電して熱中症になったら元も子もない」と疑問を呈している。
熱中症で死に至るのはほとんどが高齢者だ。厚労省の人口動態統計によると、2020年の熱中症による死亡者のうち、86%が65歳以上である。
総務省消防庁によれば、昨年5~9月の熱中症による救急搬送は高齢者が最多。消防庁は「高齢者は暑さを感じにくいため、適時に水分を補給しなかったり、エアコンをつけずに熱中症に至るケースがあると考えられます」(救急企画室)と答えた。高齢者の熱中症を防ぐには、先手先手でエアコンをつける必要があるのだ。
「暑さに気づきにくい高齢者を熱中症から守るには、躊躇なくエアコンを使えるように環境を整えるのが政府の責任です。“ポイ活”に絡めて節電を呼びかけるのは、高齢者の命や健康を何だと思っているのでしょうか」(法大名誉教授の五十嵐仁氏=政治学)