相澤冬樹
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相澤冬樹ジャーナリスト・元NHK記者

1962年宮崎県生まれ。東京大学法学部卒業。1987年NHKに記者職で入局。東京社会部、大阪府警キャップ・ニュースデスクなどを歴任。著書『安倍官邸vs.NHK 森友事件をスクープした私が辞めた理由』(文藝春秋)がベストセラーとなった。

弁護団を増強し情報開示訴訟…国が「訳のわからんこと」を言う理由とは

公開日: 更新日:

「存在が明らかになってはマズイ」4つの文書とは

 弁論後の記者会見。冒頭で生越弁護士が「義勇兵が駆けつけてくれました」と新メンバーを紹介。その一人、坂本弁護士は堺市の情報公開審査会の会長を務める。「あるとわかっているのにグローマー拒否(あるかないかも答えない)ができないのは法律上常識です。私は大阪市の情報公開審査会の委員もしたことがありますし、今も堺市の情報公開審査会の委員をしていますが、このようなケースでグローマー拒否などというのは、あり得ないです」と経験を踏まえて指摘した。

 さらに阪口弁護士は、国が何も答えようとしない姿勢を取るのは、「存在が明らかになってはマズイ」4つの文書があるからだろうと指摘した。その4文書とは──。

1)森友学園に値引き売却された国有地をめぐり、近畿財務局が土地を管理する国土交通省大阪航空局とやり取りした記録

2)森友学園の籠池泰典理事長(当時)が安倍首相(当時)の妻、安倍昭恵さんと国有地前で撮った写真を持参して近畿財務局と交渉を行った際の記録

3)安倍昭恵さん付きの政府職員だった谷査恵子氏が問題の国有地をめぐり財務省の国有財産審理室長とやり取りした記録

4)問題が発覚した後の2017(平成29)年2月22日、菅官房長官(当時)が財務省理財局長だった佐川宣寿氏や財務官僚らを集めて開いた会議の記録

 これらの資料は存在が間違いないと見られながらいまだに明らかになっていない。しかし検察の捜査では任意提出したはずで、それが情報開示で明らかになると困るから、訳のわからないことを言いながら引き延ばそうとしているのだろう、という指摘だ。

 なかでも4番目の菅氏と財務官僚らの会議は、同じ日に2回に渡り開かれている。その5日前には安倍首相が「関係していたら総理も国会議員も辞める」と答弁。さらに会議の4日後に公文書改ざんが始まったことを考えると、そこで何が話されたのかは、極めて重大な意味を持つ。国が「もっとも隠しておきたい」文書と言えるだろう。それは逆に、真実を知るために欠かせない文書ということになる。

 思えばちょうど1年前の同じ日も国と佐川氏を相手取った裁判があった。あの時は夫、俊夫さんが改ざんについて記録した「赤木ファイル」が前日にようやく財務省から開示されたばかり。雅子さんは法廷で意見を述べた。

「財務省の皆さんが改ざんの具体的経緯を明らかにしないことは、国民の疑惑や不信を招くような行為です。疑惑や不信を招くような行為をこれ以上続けないことを、私は心から願っていますし、夫も同じように願っていると思います」

 この言葉で締めくくり涙ぐむと、傍聴席から拍手が起きた。あの時の温かい気持ちを思い出した。同じように、財務省が出したくない文書を勝ち取ろう。

■阪口弁護士のつぶやきに親近感

 この日の裁判で雅子さんが一番面白かったこと。それは原告席で隣にいた阪口弁護士がもらした一言だった。

「訳のわからんこと言うてんなあ、あいつら」

 引き延ばしのための苦しい言い訳を繰り返す国の代理人について、ぼそっと語ったのだ。雅子さんは思わず吹き出した。

「おもろいこと言うなあ。弁護士さんも私と同じこと思ってるんだ」

 親近感がわいて、元気の出る“つぶやき”だった。

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