障害レースのオートゥイユ競馬場で優雅にシャンパンのランチを
【番外編】パリ・オートゥイユ(1)
今回のギャンブル旅は番外のパリ編を。
パリに出かけたのはおよそ2年半ぶり。日本がたまたま4月10日に1日の入国者数を1万人に広げたタイミングだった。出かけてみるとフランスは3月半ばでメトロ、バスなどの公共施設でのマスク着用の義務だけになり、屋外ではほぼノーマスクになっていた。
セーヌ川クルーズなどは大盛況で、後から写真を見るとマスクを着けているのはたった一人だった。かの国と日本の違いはこの事実がすべてを物語っている。
フランスではこれまでも競馬場に出かけている。シャトーのあるシャンティイと19年に立ち寄ったドーヴィルの2場。今回は障害レース専門のオートゥイユと、秋には今年の日本ダービー馬、ドウデュースが走るといわれている凱旋門賞のロンシャンで、どちらもパリの西、ブローニュの森にある。
14日はオートゥイユ。案内役はマダム悦子。悦子さんは以前、フジテレビの凱旋門賞の中継や日本向けにつくったオートゥイユの紹介映像の制作を手伝ったこともある。
オートゥイユへはメトロを利用、10番線のオートゥイユ駅で下車する。この時は1つ手前の駅で降りて街を歩き、手持ちがあまりないので、クレジットカードでキャッシングしたのだが、「引き出し」と日本語表記が出てきたのはビックリ。途中、売店で競馬新聞も購入した(2.2ユーロ=約300円)。
地下道から地上に出たところで…
悦子さんとは地下道からの階段を上がった入り口で待ち合わせした。待っていると生い茂る木立から肩にポトリと何か落ちてきた。鳩の糞! 悦子さんにラインすると「ウンがついて当たりそう」と返ってきたが……。
オートゥイユの始まりは古い。1873年。5月25日に行われる「パリ大障害」のコースとしても知られる。入場料が高い。1人5ユーロ(約700円)。メインスタンドは白が基調の瀟洒な造り。ホームスタンド裏にパドックがあり、その前のレストランがすでに賑わっていた。
レースは8レース制で1Rのスタートは13時50分。何はともあれ、2Rを買うことに。
「何を買えばいいの?」と悦子さんに聞かれるが、皆目わからない。競馬新聞も場内で調達した出走表も馬名、オーナー、厩舎などがわかる程度、前走までの成績がどうにもわかりにくい。よくこれで馬券が買えるなあと思ったが、いやいや、フランス語もわからずに馬券を買おうとしているアンタは、と言われそうだ。
賭け式はレースによって異なり、単勝、馬連、3連複、3連単、4連単、5連複など。
「2Rは④が除外で①②③⑤の4頭。僕は①②③の3連複1点」
パドック前のレストランで乾杯!
的中したのは悦子さんで一番人気薄の⑤の単勝を2ユーロ買って9.4倍、18.8ユーロの払い戻しに。「ランチの足しにして」といわれ、パドック前のレストランへ。ここはファンがパドックの内側に入ることができる。同行した絵描きがパドックの中に入って馬を間近に見ながら写真を撮っている。
「シャンパンを頼みますか」
運ばれてきたのはモエだった。値段を見たら75ユーロ(約1万円)。円安が痛い。まずは乾杯し、チーズとハムの盛り合わせ、グリーンアスパラガス、オイルサーディンを。
周囲は酔って赤ら顔のちょっとオシャレなおっさんたちがコロナからの解放感もあって、ハグしたり陽気に騒ぐ。この時期、日本人がいるのは珍しいせいか、とてもウエルカムな雰囲気。大人の社交場でゆったりランチタイムを過ごした。
(文=峯田淳/日刊ゲンダイ)
■データ(メトロ)回数券(カルネ)
20枚33.8ユーロ=4729円、1枚236円