10.14は鉄道開通から150周年 最初の路線「新橋─横浜間」はウソだった?
東京女子大学の最寄り駅としてお馴染みのJR中央線「西荻窪駅」。中央・総武線の各駅に比べ割とこぢんまりとした駅に、こんなポスターが張られている。
「2022年は開業100周年YEAR」
今年の7月15日に沿線の高円寺駅、阿佐ケ谷駅とともに100周年を迎えるのだ。道行く女子大生は興味ないかもしれないが、昨年は隣駅の荻窪駅が開業130周年。そしてなんと! 今年の10月14日は、日本初の鉄道が1872(明治5)年に正式に開通してから150年を迎える。
その記念すべき最初の路線は「新橋-横浜間」と教科書で習った記憶があるが、東日本鉄道文化財団の担当者から「当時の新橋駅は今とは違う場所にありました」と驚きの発言が……。横浜と新橋の29キロを蒸気機関車で結んだというのは“ウソ”だったのか?
「汐留-桜木町間」の方がより正しい
実は、本来の新橋駅は現在の新橋駅から徒歩3分ほどにある汐留シオサイトにあり、当時と同じ場所には2階建ての「旧新橋停車場 鉄道歴史展示室」が建てられている。その職員さんに事実かどうか確かめてみた。
「当時の駅舎と同じ位置にできるだけ忠実に再現しました。外観の大部分は、かつて伊豆の下田で産出された『伊豆斑石』を使用していましたが、今は採掘されていないため、プラットホームに使われていた伊豆斑石を薄切りにして展示室で再現しています」
なんと、やっぱりここが新橋駅だったようだ。鉄道歴史展示室では旧駅舎の基礎石などが見学できるようになっており、建物の裏にはプラットホームの一部も再現されている。
その後、東京駅が1914(大正3)年にできるタイミングで、「新橋駅の旅客業務を近くの烏森駅に移し、名前も烏森駅から新橋駅に。本来の新橋駅は汐留駅へと名称を変え、貨物専用駅になった」(前出の東日本鉄道文化財団担当者)という。
そして、もう片方の横浜駅はさらに変遷が激しい。何と2度の移転を経て現在の横浜駅になったそうだ。初代は現在のJR京浜東北線や横浜市営地下鉄が通る「桜木町駅」。その後、市営地下鉄「高島町駅」付近に移設し、1928年から現在の横浜駅の場所に。
「桜木町駅に当時の資料が展示してあります。また大宮の鉄道博物館にライブラリーがあり、鉄道関係のさまざまな資料に目を通すことができます」(前出の担当者)
日本最初の鉄道は「新橋-横浜間」で間違いなさそうだが、場所的には「汐留-桜木町間」の方がより正しいかもしれない。