四国「バースディきっぷ」を利用して体験した、線路も道路も走行できるDMVの乗り心地
昨年末、DMVという新種の乗り物が四国に登場した。これは「デュアル・モード・ビークル」の略で、線路上も道路上も走行できるといういわば「両生類」である。
どんな代物か興味があったので、「バースディきっぷ」の使える4月を待ち、阿佐海岸鉄道へ乗りに出かけた。
4月13日、高松発7時23分の特急で御免へ出て、土佐くろしお鉄道に乗り換えて奈半利着10時50分。この先は高知東部交通のバスで土佐湾を眺めて走り、やがて段丘に沿った細い集落を抜けたら室戸世界ジオパークセンターで12時10分着。
さらにバスを乗り継いで「夫婦岩」なんて看板も現れる磯波砕け散る海岸を北上し、海の駅東洋町には12時47分に到着。
車内はマイクロバス風
近くで食事を済ませてから戻ると13時24分発のDMVがやってきた。見た目はボンネットの張り出したマイクロバスで、車内もそれと変わりはない。着席18、立席3と輸送力が限られるためホームページでも予約を勧めているが、先客は5人で難なく乗れた。
甲浦駅では高架までスロープができており、それを登るとモードチェンジ場で、アップテンポのBGMが流れているうちに車両が持ち上がる。やや後ろに傾いた態で鉄道区間に入ると、前後を二輪台車で支えているからトロッコのような振動が尻に伝わる。
車体が小さい分、周囲の景色も手近に眺められるなと思っているうち13時49分、阿波海南駅に着いて700円支払い下車。後続のDMVのモードチェンジを見学した後、14時8分発の牟岐線で徳島へ向かった。
線路も道路も走行できる
さて、一度乗っただけでDMVの効用について論じる資格もなかろうが、乗車後、近頃都内でもたまに見かける水陸両用バスのことが頭に浮かんだ。
私は今回、DMVが目当てではるばる室戸岬を回って甲浦を訪れた訳で、水陸両用バス同様、DMVも乗車体験そのものが観光になるようであれば、廃線跡を用いたリゾート地へのアクセス等として着目されるのかもしれぬ。
但し、私は水陸両用バスにもまだ乗っていない。DMVとどの程度似通った印象を受けるのか、いずれ確かめねばなるまい。