南野苑生
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南野苑生マンション管理員

1948年生まれ。大学卒業後、広告代理店に勤務。バブル崩壊後、広告プランニング会社を設立するものの経営に行き詰まり、59歳のとき、妻とともに住み込みのマンション管理員に。その体験をつづった「マンション管理員オロオロ日記」(三五館シンシャ)がベストセラーに。

清掃員が口にした勤務時間内の「こっちの都合もある」って何だ?

公開日: 更新日:

 以前にも紹介したが、わたしたち夫婦が出会った清掃員さんは、なんだか妙に虫に不思議な縁があった。木村さんもそうだった。男にも勝る体躯をしていたにもかかわらず、手すりの上にアゲハチョウの幼虫がいるのでどけてほしい──と真っ青な顔をして頼みにきたことがある。清掃員に虫嫌いは共通の資質なのだろうか。

 雇用の条件は異なるが、清掃員は管理会社に雇われるという点では、わたしたちにとっては、いわば「同僚」である。だから、わたしたちはその木村さんを「清掃員さん」ではなく、「木村さん」と呼んで、とても大切にした。

 というのも、彼女は家内が採用面接にも立ち会い、面接担当官と協力して選んだ人であったし、それまでの清掃員があまりにも酷かったから、その二の舞いを演じないためにも厳選を重ねて白羽の矢を立てた人でもあったから。

 とにかく、前任の清掃員ときたら、仕事はすべてにおいて雑。それでも、性格が素直で、こちらの要望や指示をきちんと聞いてくれれば、教え甲斐もあるのだが、それもない。そんなこんなで、家内としても木村さんにはできるだけ機嫌よく、長く働いてもらいたいと願い、随分、気を使っていた。ところが、それがかえって彼女を増長させることになってしまったようだ。

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