800軒食べ歩いた男!ハムカツ太郎さん激オシの必食5店
「ハムカツは店によってハムの形や種類、切り方、厚さ、衣の付け方などが違っていて奥が深いんですよ」
「ハムカツ太郎」こと原匡仁さん(58)は話す。東京・五反田の人気酒場「かね将」。まずは1枚120円のハムカツとハイサワーで乾杯。
「ここのハムカツは薄くて、サクッといい歯応えでしょう。何枚でも食べたくなります」
2017年から800軒以上の店のハムカツを食べ歩き、ブログ「ハムカツ太郎のハムカツドウ」に記録してきた原さん。元々は大学卒業後、アパレル会社に就職したバブル世代ど真ん中のサラリーマンだった。
会社の業績は右肩上がりだったが、毎日、終電近くまで残業し、ロクに休みも取れない。ひたすら働き続けて気付けば40代半ば。部下もでき、少し余裕ができてくると、昭和の雰囲気がある大衆酒場や喫茶店で一人のんびり過ごすことが好きになった。
■“ユルいつながり”が心地いい
そんな折、50歳の時、原さんに転機が訪れる。同僚のツテで知り合った、横浜みなとみらいで「BUKATSUDO」というシェアスペースを運営していた会社の人から「みなとみらい昭和文化研究部」という趣味のサークルの責任者をやってみないかと誘われた。原さんの“昭和好き”を見込んでのことだった。
「最初は断っていたんですが何度も誘われてね。それで、そこのキッチンスペースに定期的に集まって、みんなでハムカツを作ってハイサワーを飲むという活動をするようになったんですよ。多い時は男女・年齢問わず50人くらい集まるようになりました。みんな何だか楽しそうでね。人の輪もどんどん広がっていく。そこで仕事や年齢関係なく楽しめるコミュニティーのすごさに気が付いたんです」
会社人間だった原さんだが、会社でも家庭でもない「サードプレース」でのユルいつながりの心地よさに気付いた。その象徴がハムカツだったというわけだ。同時にハムカツ愛はさらに高まり「ハムカツドウ」も開始した。
そして2019年、会社では管理職の立場にあった原さんだが、32年間勤めた会社を55歳で早期退職。「このまま定年まで働いて、給料が下がって延長雇用で働いてもなあ……」と考えてのことだった。同時にシェアスペースを運営していた会社から声がかかり、「アトレ竹芝」にオープンした「SHAKOBA」の支配人になった。
「まさに僕はハムカツで人生が変わったんです」
3枚目のハムカツをかじりながら原さんは穏やかに笑った。
▽ハムカツ太郎(原匡仁) 1964年神奈川県横浜市生まれ。2018年7月「マツコの知らない世界」(TBS系)に出演。ブログ「ハムカツ太郎のハムカツドウ」も必見。
ハムカツ太郎さん激オシ 必食の5店はココ!
■焼とん酒場「かね将」
(住)東京都品川区西五反田2-6-1 石塚ビル1F ℡03.3495.4677
昭和の雰囲気が心地いいJR五反田駅西口の人気店。ハムカツは1枚から注文可。
■SHAKOBA(東京都港区海岸)
ハムカツ太郎が支配人を務めるアトレ竹芝内のコミュニティー施設「SHAKOBA」名物の「太郎の愛する昭和3点盛り」。
■激安酒場イチゴー(東京都千代田区神田司町)
10周年をむかえるオモシロ酒場。「肉屋のハムカツ」は手作り感あふれていい感じ。いつ来ても楽しい。
■堂山食堂(大阪市北区堂山町)
24時間営業、飲み食べOKの食堂酒場。ハムカツはたまごサラダをギョーザのようにハムで包んだ変わり種。いとうまし。
■京極スタンド(京都市中京区新京極通)
京都ではテッパンの食堂酒場。ペラハムにしっかりとした衣の昭和タイプで、衣を食べるハムカツの代表格。