【ふきの葉の佃煮】ほどよい苦みがご飯のおかずにも、つまみにも
この時季の野菜、ふき、たらの芽、うど、菜の花などは香りがよくうまいが苦みがあるのが特徴。若かりし頃は口の中で先に訪れる苦みばかりに気をとられて、うまみを味わえなかった。まして薄口に調理されることが多いため、あまり箸がすすまなかったように思う。酸いも甘いもかみ分けた今となっては、苦みこそ待ち遠しくなった。
あっさりとしたふきの煮物もそのひとつ。だしの香りと独特の苦みが人気で、居酒屋メニューでもよく見かける。あく抜きなどの下ごしらえがいるが、透き通ったグリーンに仕上がれば、慣れたおうちご飯でも気分だけはちょっとした小料理屋風。ほろ苦さを味わう大人の一品が晩酌のお供になる。
全国に自生しているふきは日本人には馴染み深い。都会ではこの時季のスーパーで求めやすいが、ちょっとした田舎なら近くの土手や山で採取してよく洗って調理したっていい。
ところで、ふきは知っての通り茎を食すのが主流だが、ときどき大きな葉も茎と一緒に畳まれて、ラップにくるんで売っているのを見かける。あの大きな葉っぱを捨てるなかれ。なかなか出回らないが、見かけたらぜひ買ってほしい。大きく丸い葉っぱは食べられるのである。
特に4月から5月にかけては、軟らかく香りも抜群。甘辛い佃煮にすればおいしく味わえるのだ。苦みが強い場合もあるので、葉を茹でて取り出し、湯を替えて再び茹でるを繰り返し、味見をしながら苦みの加減を調整するのがコツ。風味がよく、程よい苦さが絶品のご飯のおかずになるし、もちろん酒のつまみにもよし。今まで葉の部分を捨てていたのを後悔するかも。
(日刊ゲンダイ編集部)
【材料】
・ふきの葉っぱ…5~6枚
・サラダ油…少々
・麺つゆ…大さじ2
・みりん…大さじ2
・酒…大さじ1
・かつお節…少々
【作り方】
(1)沸騰した湯に葉を入れ30秒ほど茹でて取り出す。湯を替えて同じ作業を繰り返す(写真①)。
(2)水にさらした後、まな板にあげて1センチ幅くらいに切る。
(3)フライパンに少々の油を引いて炒める(写真②)。
(4)麺つゆ、みりん、酒を入れてほどよく絡める。
(5)器に盛り、かつお節をふりかけて出来上がり。