もう最新機種にこだわる必要なし?これが「中古スマホ」の賢い買い方&選び方だ
生活家電最大の必需品となってきたスマートフォン。これまでは通信料金プランの変更とともに買い替える人は少なくなかっただろうが、最近では買い替えなかったり、中古スマホを求める人も増えている。その背景と賢い買い方を探った。
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3月23日にNTTドコモが「docomo Certified」として認定リユース(中古)スマートフォン(スマホ)の取り扱いを始めた。KDDIもソフトバンクもすでに認定中古スマホを扱っており、大手通信キャリアーが揃い踏みをした。
MM総研によると2021年(20年4月から21年3月)までの中古携帯端末販売台数は185万台で、25年の見込みは268万台。客単価を1台1万5000円で計算すると市場規模は277億円(21年)から402億円へ増加する見込み。
総合商社・伊藤忠の社内ベンチャー、Belong社も「にこスマ」ブランドで19年に参入。「売り上げは20年は19年比で4~5倍、21年は20年比で4~5倍になった。市場は今後4倍の伸びしろを見込む」(同社広報担当)と分析する。
■拡大する中古スマホ市場
中古スマホ市場が拡大した要因は、19年10月の電気通信事業社法の改正だ。改正により携帯端末と回線(SIMカード)が分離。これまでは回線料金に端末代金を含めていたが、別扱いになったことで端末の割引がなくなり、結果的に新品端末は高騰。一方で中古スマホも自由に選べるようになった。
「中古スマホ市場は全世界では2兆5000億円から3兆円ですから、日本の市場は人口比から言っても小さく伸び悩んでいる」と中古スマホ販売業者の業界団体「リユースモバイル・ジャパン」(RMJ)理事長の粟津浜一・ニューズドテック社長は話す。
「中古スマホは壊れるかもしれない、バッテリーがヘタっているかもしれない、保証がないなどが忌避される理由です。そこでRMJとしては安心してもらおうと検品内容、データ消去、バッテリーについてガイドラインを作成し、基準を満たす業者に認証マークを貼ってもらっています。大手通信キャリアーが乗り出してきたこと自体は消費者に安心感を与える効果があるので業界として歓迎しています」と話す。
3Gサービスは終了へ
さらに今後は3G(第3世代)通信サービスが停波になる。3月末にはKDDIのガラケーが利用中止に。今後、ソフトバンクは24年1月に、NTTドコモは26年3月末にサービスは終了していく。ガラケーを使っていたシニア層も4Gか5Gのスマホに乗り換えざるを得ない。19年度の個人スマホ所有率は67.6%だが、今後はスマホ100%になっていくのだろう。
ではスマホは新品と中古どちらがいいのか。新品の利点(表1)は「品質がいい」「新しい」ということ。一方で価格が高い。最近は10万円は下らずパソコンと大差がない。そもそも「日本のスマホは中国やシンガポールで2次販売されることを前提としている」(スマホ販売業者)から高いという。
新品にもデメリットはある。技術革新が停滞しており、購買動機につながる新製品のワクワク感がない。搭載カメラがムービー化して映画の撮影も可能だと宣伝されているが、人によってはそのような最新機能はオーバースペック(過剰)。
逆に中古スマホの認知度は上がっている。
「フリマ市場の浸透やリユース市場の拡大により中古に寛容になった。2年に1度買い替える商習慣にユーザーも疑問を感じているのではないか」(Belong社)
コロナ禍では中古のiPhone8(17年発売)が人気だった。マスク着用が日常化し、最新の顔認証システムより指紋認証機能が求められたためだ。
iPhoneとアンドロイド、どっちがいい?
中古スマホが日常的な選択肢になってきているが、まずiPhoneとアンドロイド端末の違いを見てみよう。
iPhoneはiOSのアップデート期間が長いが、アンドロイドは3~4年で終了して最新のスマホアプリが使えなくなる可能性がある。もちろん、そのような最新アプリを使わなければ支障は生じない。iPhoneもiPhone6(14年発売)は22年、iPhone7(16年発売)は23年にiOSのアップデートサポートが終了されるとみられている。
修理環境について見ると「iPhoneの保守パーツは世界的に供給されていて整備がしやすい。アンドロイドはiPhoneのように1機種が大量に出回っておらず、メーカーの数も多く、キャリアーごとに端末の仕様も異なる。メンテナンスは業者もオペレーション的に大変」(前出の中古スマホ業者)という。
Belong社の調査によれば、世界市場ではiPhoneとアンドロイドの比率は3対7だが、日本は約6割がiPhone。使用後に売ることを見越してiPhoneが購入されることはあるが、「日本は掛け売りの商習慣があるため入金が遅く、海外から中古スマホ市場に端末が入って来づらい」(粟津RMJ理事長)こともアンドロイド端末が日本市場に少ない理由だという。とはいえ、ある中古スマホ業者は「格安SIMカードを7枚持っていてアンドロイドのお手頃中古を1年ごとに買い替えています」と話す。自分の使いやすさで機種は選べばいいだろう。
■フリマはリスクが高い
中古スマホの主な買い求め先は(表2)にまとめた。大手通信キャリアー、Belong社やRMJ会員企業などの販売業者、フリマだ。リユース業者間は販売価格に大差ないので、検査体制とその情報開示、保証サービスがユーザー選好のポイントになってくる。この点、大手キャリアーの検査体制は不明瞭だ。
端末価格が安いのはメルカリやヤフオクなどのフリマだが、「品質に瑕疵がある可能性が高く、端末にデータが残っていて悪用されるケースも出ている。メルカリやヤフオクはガイドラインを発表しているが読んでいる人はほとんどいないだろう」(粟津RMJ理事長)という指摘もある。
「認定品」を扱うプロから買うのが安全だ。