大谷翔平&佐々木朗希“ウルトラ怪物”を生む「岩手県のナゾ」…6つの仮説でたっぷり考察

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 妖怪のふるさと岩手県には、怪物まで生息していたようだ。2年前、地元ローカル局・テレビ岩手が放送した「怪物王国 岩手と剛速球の謎~雄星・大谷・朗希はなぜ生まれた?~」。特に最近大活躍している大谷翔平佐々木朗希が岩手出身というのは、偶然で片づけていいのか。岩手には何があるのか?

  ◇  ◇  ◇

仮説①早起きの習慣が190センチの大男をつくった

 エンゼルスの大谷は1994年生まれの27歳。ロッテの佐々木は2001年生まれの7つ年下の20歳だ。身長は大谷の193センチに対し、佐々木が190センチ。日本人男性で180センチ以上の割合はおよそ6.5%で、190センチ以上ともなれば0.1%以下しかいない。この手足の長さは160キロ超の剛速球を投げる上で絶対的に有利だ。やはり本州最大の面積を誇る岩手は、住む人の体もビッグなのか?

 まず注目したいのは2人の「体格」だ。

 スポーツジャーナリストの二宮清純氏は、岩手県民の起床時間の早さに着目している。

 総務省の「社会生活基本調査」(16年)によると、岩手県民の平均起床時刻は6時17分で全国トップ(平均は6時32分)。睡眠時間も7時間54分(同7時間40分)で全国4位と長い。寝る子は育つ。だが、文科省「学校保健統計調査」(20年)では、岩手の17歳男子(高3)の平均身長は170.8センチ。全国平均の170.7センチと大差はなく、むしろ大谷や佐々木が“特殊”なのが分かる。そもそも本州最東端に位置する岩手は日の出も早いのだから、四国や九州の人より早起きするのは当たり前だろう。

仮説②Kボールの普及が全国に先駆け早かった

 では、朝日新聞などが唱える「Kボール説」はどうか? Kボールは2000年に開発された軟式野球ボールのこと(現在は不使用)。重さや大きさが硬式球に近く、岩手では01年から全国に先駆けてKボールが普及したため、大谷や佐々木のような選手が育ったという説だ。ただし、Kボールは全国に満遍なく広まっていて、同年の日本中学生野球連盟主催の全国大会で優勝したのは神奈川のチーム、準優勝も千葉のチームだった。Kボールが大谷や佐々木のような選手を育てたという理論は、ちょっと無理がありそうだ。

全国1位「運動部参加率」の信憑性は?

仮説③厳しい自然条件で我慢強いという県民性

 では、「我慢強い」という県民性はどうか。岩手は寒冷で土地もやせており、堅実な県民性を育んだといわれる。

「厳しい自然条件で辛抱強いのは確かですが、内陸南部の奥州市(大谷)と、沿岸部の陸前高田市(佐々木)では元来、考え方も風土も違います」(「ナンバーワン戦略研究所」の矢野新一氏)

 一概に我慢強いともいえず、この説も正解とは言えないようだ。

仮説④2015年から県が導入した「60運動」の成果

 では、岩手の教育委員会は、どう考えているのか?

「15年から、1日60分以上、体を動かす『元気・体力アップ60(ロクマル)運動』を始めています。岩手は畑作業を手伝う子供も多く、運動習慣が自然に身についている。運動能力に関しては全国的にも高いのではないでしょうか」(保健体育課担当者)

 21年の「全国体力テスト」(小5と中2が対象)で岩手の中学男子は実技8項目すべてで全国平均を上回った。特に、「握力」は2位、「上体起こし」は6位、「ボール投げ」も沖縄、大分などと並んで上位グループに入る。野球選手に必要な握力や背筋力に優れている子供が多いとは言える。とはいえ、7年前に始まったキャンペーンのため、佐々木こそかぶるが、大谷には関係がない。

 他に岩手のナゾを解く候補に挙げられるのは、全国1位の「運動部参加率」(中学生と高校生)がある。だが、参加はしても練習時間はかなり少ない。中学生男子の週当たりの活動時間は776分(1日当たり1時間51分)。これは全国43位の少なさで、最も多い千葉の1084時間の7割程度だ。県のガイドラインでは、中学生の部活動は週当たり2日以上の休養日を設け、1日の活動時間は平日2時間程度と決められている。

 逆に言えば、このため練習嫌いの子供は少なくなり、70%の子供が「運動やスポーツをすることが好き」と答えている。

「県として野球教育に特に力を入れているとか、指導者の育成を行っているということはありません。確かに岩手は四国4県分と広いため、いろんな人がいる。遺伝子レベルのことまでは分かりませんが」(前出の保健体育課担当者)

 大谷や佐々木が凄いのは、最終的には親からの遺伝によるところが大きいだろうが、だとしたら、その親たちは代々、どんな遺伝子を受け継いできたのかが気になる。

何を食えばこんな怪物が育つのか?

仮説⑤縄文人の遺伝子を受け継いでいる

 日本のDNA研究は急速に進んでおり、東京大学の大橋順准教授らによる47都道府県1万1000人を対象にした調査では、地域によって遺伝的なバラツキが分かった。日本には「アイヌ民族」「琉球人」「本土人」の3つの民族があり、大橋准教授によると「縄文人と渡来人の混血子孫が本土人であり、アイヌと琉球人は、本土人に比べて混血の影響をあまり受けていない」という。現在の本土人は、日本の固有種とされる縄文人に由来するゲノム成分は20%程度しか保有していない。言い換えれば、80%は約3000年前に大陸から渡ってきた渡来人の遺伝子だ。

 一方、北東北(青森、岩手、秋田)の人はアイヌに次いで縄文人に近い遺伝的特徴があるとされる。大谷、佐々木の運動能力が発達しているのは、ひょっとしたら「縄文人の遺伝子」を色濃く残しているからかもしれない。もっとも、骨の大きさから弥生人の方が縄文人より身長が高いので、大谷や佐々木が縄文人系だとする根拠は何もない。とはいえ、ガチムチ系の縄文人が、大陸から来た弥生人の打者をバッタバッタと三振切りしていると思えば、少しほほ笑ましくなってくる。

 そんな岩手が誇る全国1位は「果物消費量」「ダイコン消費量」「昆布消費量」などだ。子供の頃に食が細かった大谷は牛乳を毎日1リットル飲み、佐々木は大好きなカルピスで夏場を乗り切った。

 大谷や佐々木が凄いのは本人の努力によるものが大きいが、それに加えて岩手の早起き生活、毎日の運動習慣がミックスされた結果に違いない。

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