小手調べの初日はドボン3連発! 帯広駅前の繁華街をブラブラ歩いた
ばんえい競馬(2)
ばんえい競馬を知るには帯広競馬場のホームページを見ればだいたいわかる。
帯広競馬場は元々は本馬場と直線200メートルのばんえい馬場があったが、1998年からはばんえい馬場だけになった。幅1.8メートルのセパレートコース(ダート、フルゲート10頭)。高さ1メートルの第1障害と1.6メートルの第2障害があり、第1障害はほぼスムーズに走り抜けるが第2障害は第1障害の何倍もの馬力が必要で手前で一息入れ、「エイヤ!」と上る。第2障害を下りるとゴールまで約62メートル。それまでに体力を消耗して止まってしまう馬、遅れて山を下りて直線で一気に追い込む馬……。
ソリは450キロ、これにレースに合わせてオモリを乗せる。牝馬は20キロのハンデがある。騎手は調整して一律77キロ。
予想専門紙はデータが細かく奥が深い
競馬場の敷地内に27の厩舎があり、登録馬はおよそ600頭。ばん馬は重種馬で軽種馬のサラブレッドとは種類が異なる。元々農耕用だった馬が競走用に育てられている。
古馬は獲得賞金によってオープン、A~C、2歳はA~Dにランクされている。
騎手は19人。
勝ち馬の賞金は例えば3月20日に行われた重賞の「ばんえい記念」は1000万円だが、このレースは別格で20万~30万円のレースも多い。
予想専門紙を手にした途端、データが細かくクラクラしてしまった。要は馬のやる気だけではないのかと安易に考えていたが、奥が深いのだ。これらのデータに魂を乗せる作業をするために、はるばる帯広までやってきたということだろう。
事務所で話をうかがい再び場内へ。若者のグループ、カップル、中年夫婦、それから何十年も通い続けているファン……。
12日、第25回初日(準ナイター開催)。この日は6~8Rで小手調べだ。8Rの発走は18時5分。ばんばは初めて。ビギナーズラックを期待してこの日は3連単の4頭ボックス馬券と決める。スタートするとコースの柵の外をばん馬と一緒にゴールまで歩いた。速足くらいのスピードだ。第2障害を上る時、ばん馬は頭を下げ、前脚で必死にかくように走る。大きくてつぶらな瞳が輝いているのが遠目でもわかる。そのけなげさに柄にもなく目頭が熱くなった。ギャンブラーの目に、涙。
「今日取材に来られた方が馬の頑張っている姿を見て『涙が出ました』と言ってました」という広報課長の藤田裕史さんの言葉を思い出した。「頑張っている」という言葉、姿に人は弱いそうだ。
この日は馬と若者に引かれてコースを3往復。「③だ、でも、持ってないよ!」「キャッ」と若者。遊べよ!乙女! 遊ぶことからしか生きるとは何かを学べない。
結局この日はドボン3連発。「明日があるさ」。
道産娘の熱燗「北の勝」に感激
馬場に雪はなく気温は零下か。冷え込んだ馬場を後にし、帯広駅前の繁華街をブラブラ歩いた。まん防で21時閉店の店がほとんど。ビルの中の寿司屋が気になってフラッと。北海道なので珍しくウニを。熱燗を頼んだら道産娘が出してくれたのが「北の勝」。最後に大当たり? 目を合わせてニッコリ。
「明日は勝てるかな」と言ったら「頑張って」と励ましてくれた。
■データ 走行距離
281キロ(3月12~14日)
(峯田淳/日刊ゲンダイ)