和僑HD社長 坂田敦宏さんの巻き(1)
TEJI TOKYO(東京・新宿)
1日3食として、1年間で1095食。居酒屋やラーメン店などを手掛けるこの人は、その半分近く、500食程度が外食だという。そんな外食通がプッシュするのが、東京・歌舞伎町にある「TEJI TOKYO」だ。
「テジとは韓国語で豚のことで、この店はサムギョプサルが名物です。何がすごいって、豚肉の種類が豊富なのです。スペインのイベリコやハンガリーのマンガリッツァ、幻の豚ともいわれる梅山豚などブランド豚をそろえているほか、ワインやハーブ、ニンニクに漬けた豚肉もあります。豚肉をこれだけ吟味している店は、ほかにないでしょう。しかも客単価は5000円ほど。決して高くなく、使い勝手がいいのも魅力です」
雨が降る日曜の夜8時に店に向かうと、悪天候の週末とあって人通りは多くはなかったが、席は8割ほどが埋まっていた。人気のほどがうかがえるだろう。
イベリコは塊のまま火を入れる
奥のテーブルに通されてメニューを見ると、ブランド豚3種盛り合わせが、お薦めのメニューの一番上に鎮座する。2人分が4500円で、3、4人分が5500円。ほかに牡蠣チヂミ(S980円)も気になる。2人分の盛り合わせと牡蠣チヂミに加え、チョレギサラダ(S880円)を注文して、ビール(630円)を飲みながらしばし待つ。
「お待たせしました」と女性スタッフが手に持っていたのは、塊肉を含む豚肉がドーンと。このほかにサンチュとネギ、炒めるときのキムチがつく。これはいい。スタッフが焼いてくれるので楽チンだ。
「まずは無菌豚からお焼きします。こちらは生でも食べられますよ」
マグロの赤身より細菌が少ないそうで、スライスした薄切りは軽くあぶる程度でOK。キムチやネギと一緒にサンチュにのせて口に運ぶと、豚の甘みとウマミが広がる。野菜もたっぷりで、罪悪感がないのもいい。
「焼き肉屋をはじめ韓国料理店はわちゃわちゃとした雰囲気の店が多いですが、こちらは落ち着いて食事ができます。大人の韓国料理店なのも、お薦め理由のひとつです」
なるほど、内装は白を基調としていて、韓国料理店というよりビストロのような趣だ。隣のテーブルとはカーテンで仕切られていて、周りの視線が気にならない。
2番目は北海道日高の四元豚・神威豚。無菌豚より厚切りだけに、より食感が増す。それでも圧巻は、塊のまま火を入れていくイベリコ豚だ。
メニューにSとLがあるのもグー
“待て”をされている間に牡蠣チヂミをいただくと、海のミルクの香りが強い。豊かな風味が印象的だ。この店、ほとんどのメニューにSとLがあって、サイズを選べるのもグー。チヂミはたくさんあると、それだけで腹パン必至だから、2人で8切れがちょうどいいのだ。
シメの豚スンドゥブチゲ(980円)は、辛みがマイルドでするすると胃に落ちる。ホッとする味だ。
「一品料理もおいしいので、接待やデートにも使えますよ」
覚えておくと重宝しそうだ。
(取材協力・キイストン)
■TEJI TOKYO
東京都新宿区歌舞伎町2-21-3 第六本間ビル1階 ℡03.3207.5506
▽和僑グループ 日本橋茅場町不二楼、ヒノマル食堂、新潟ラーメンなおじなど国内外に約30店舗を展開。最近は「韓国屋台ペゴッパヨ」「焼肉うしやま」など新業態のプロデュースなども手掛け、活躍の場を広げている。
▽坂田敦宏(さかた・あつひろ) 1968年生まれ。和僑HD社長。21歳で清掃業での起業を皮切りにさまざまな業界を経験するが、2012年、脳出血で倒れ、半身不随に。2年間のリハビリを経て社会復帰。訪問看護事業を立ち上げると、投資家としても活動する。