元おニャン子生稲氏擁立で“マルタマの乱”再来か 自民・参院選東京にタレント2人のドッチラケ
「芸能界から政界への転身となりますけども、やらせていただく以上は政治家として全身全霊、国民の皆さまのために働きたいと決意しております」
元「おニャン子クラブ」メンバーでタレントの生稲晃子氏(53)が6日、自民党本部で会見し、夏の参院選東京選挙区に同党公認で出馬すると正式に表明。傍らには、丸川珠代参院議員が寄り添っていた。定数6の東京選挙区で今夏、改選の自民現職は2人。元バレーボール選手の朝日健太郎氏はすでに公認が下りている。生稲氏は、年明けに引退表明した中川雅治元環境相の後任候補だ。
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2015年に乳がんの闘病を公表した生稲氏は、安倍政権下の16年に内閣官房の「働き方改革実現会議」の民間議員に就任。20年からは厚労省のがん対策推進企業アクション女性会議「Working RIBBON」のオフィシャルサポーターも務めている。
「彼女を強く推したのは参院自民幹事長で安倍派の世耕弘成さんです。引退する中川さんが安倍派なので、“安倍派枠”としての候補擁立にこだわっていた。都連の萩生田会長も安倍派ですから、参院選は生稲氏を勝たせるために組織票を集中させることになるでしょう。安倍会長も得意の電話作戦で票固めに尽力するとみられます」(安倍派関係者)
参院選は“マルタマの乱”再来か
そうなると、思い出されるのが07年の参院選だ。当時の安倍首相がテレビ朝日のアナウンサーだった丸川氏を口説いて東京選挙区に擁立。知名度に頼った浮動票狙いの選挙戦を展開したが、思うように票が集まらないと見て、3選を目指した保坂三蔵元参院議員から引き剥がした組織票を丸川氏につけた。結果、丸川氏は初当選を果たして、“本命”の保坂氏が落選の憂き目に遭ったのだ。
■現職・朝日健太郎氏は落選危機
今回は現職の朝日氏も生稲氏もタレント候補。組織票が生稲氏に重点的に割り当てられれば、激戦区だけに朝日氏の当選は危うくなる。朝日氏の後ろ盾は菅前首相だ。東京選挙区を舞台に安倍元首相と菅前首相のバトルが勃発する可能性も。参院選に合わせるように、菅グループの勉強会発足の準備も進んでいる。
「そもそも自民党が東京選挙区に2人もタレント候補を出すことがどうかしている。実績もないのに何を判断基準にすればいいのか。都民はドッチラケでしょう」(政治ジャーナリスト・角谷浩一氏)
安倍派枠を守るためにタレント擁立という発想は、有権者をバカにしていると言うほかない。