元自衛官YouTuberトッカグンが教える「使える防災術&グッズ」
どーもこんにちは、トッカグンです。「砲兵」の特科群出身であり、現在は現役予備自衛官です。
今回、皆さんのためにサバイバル術をご紹介させていただくことになりました。お話しする内容は自衛隊員時代に学んだものと、子供の頃に遊びから生み出したオリジナルもあります。
それでは、まずはカップ麺がらいぐべ!(東北弁)
①カップ麺を水で戻して食べる
東日本大震災で被害を受けた宮城県南三陸町出身の私は、幸いにも身内に被害はございませんでしたが、いざという時のための防災術をよく考えております。南三陸には結構な山の中に「大船」という地名が残っていますし、私の生まれる前のことですが、地球の裏側のチリ地震(1960年)でも多くの犠牲者が出ています。
非常時、まず重要なのは糧食の確保です。皆さん、カップ麺はお湯で戻すものだと思ってませんか? 実はカップ麺は小麦粉を揚げてあるので水で戻すだけでも食べられるのです。時間は15~20分ぐらい。夏場は冷たくておいしいですよ。
同じように、インスタントの袋麺も水で戻して食べられます。ポイントは粉末スープを先に入れて茹でる(ふやかす?)こと。こちらは15~30分ですが、ノンフライ麺だと30分ぐらいかかりますから気を付けましょう。とても、うんめで。
②キッチンラップは万能の災害グッズ
サバイバルで何が一番貴重かというと、それは「水」です。キッチンラップでお皿やお椀を巻くと、その貴重である水を洗い物で消費するという「もったいねぇ」を防げます。またこのラップは、緊急時にはひも状にすれば丈夫なロープとしても使えますし、骨折の際は添え木を巻く包帯の代用にもなります。さらに、くしゃくしゃにした新聞紙をラップで体に巻けば、即席の防寒対策にもなります。非常用防災セットのひとつに加えておいてください。
③フリーザーバッグは自衛隊式荷物圧縮器
ファスナー付きのビニール袋で、ジップロックなどの商品名で知られています。とくに自衛隊駐屯地でフリーザーバッグの需要は高く、おそらく日本中の売り上げの3割は自衛隊員によるものでしょう(笑い)。衣類などを入れコンパクトにまとめますが、圧縮方法は簡単。フリーザーバッグの上に座ってお尻で空気を抜くだけです。半真空状態になってペッタンコになるので、「トレーナー」「下着」「ズボン」など2泊3日分くらいの衣類ならリュックひとつに納まります。冬物などは日頃から、こうして保存しておいたらどうでしょうか。
④コーヒー殻で虫よけ
これからの季節は虫の対策、とくに蚊に用心しなくてはいけません。私が自衛官時代、大砲を見張る任務を仰せつかったことがありました。任務自体は見張っているだけなのでラクなのですが、座禅のように身じろぎもせずにいると、大量の蚊が襲ってきて難渋しました。蚊取り線香でもあればいいのですが、そんなに都合よくはありません。そんな時に蚊取り線香の代用として使えるのが、コーヒーをドリップした後に残ったコーヒー殻です。これをしっかり乾燥させて火を付けると、天然の虫よけに。市販のものより少し劣りますが、バジルやローズマリー、ヨモギなどを追加しブレンドすると、うんめぇニオイまで加わります。これらの植物には蚊やハチが嫌がるシネオールという天然由来の有機化合物が含まれています。
さらに蚊は足元に寄ってきますので、フリスクなどのミントタブレットをぬりぬり。ミントのハッカ成分にはやはり防虫効果があります。
⑤空き缶で魚を取ってわらしべ長者
先ほども説明しましたが、南三陸という海と山に囲まれたワイルドな田舎で少年時代を過ごしました。そこでトッカグン式の魚の取り方を紹介しましょう。まずは、川でカジカを捕獲します。釣り竿やヤス(魚突きの道具)は必要なく、用意するものは空き缶。少しツブして川に固定しておくだけです。朝に空き缶の中をのぞくと、あらビックリ! そのカジカをエサに海へ行ってハゼを釣ります。ハゼが釣れたら今度はそれをエサにメバルやアイナメを狙います。これぞまさしく、わらしべ長者です。私が少年時代にやっていた魚の取り方ですが、工夫次第で何とでもなります。
⑥水漬けパスタでガス代を節約
先ほどの「カップ麺を水で戻す」ものと要領としては一緒ですが、乾燥パスタをあらかじめ水に浸して軟らかくしておくと(1~2時間)、通常3~10分程度かかる茹で時間が1~2分程度に大幅に短縮できます。しかも、茹でた後は生パスタ感覚でもちもちの食感に。これは災害時だけでなく、普段からできる節約のひとつです。ガス代高騰の折の節約です。
⑦牛脂と小麦粉でつくる海賊ステーキ
インスタントものばかりを食べていると、本物の肉が食べたくなる。しかし、そんな新鮮なお肉は手に入らない。そんな時は、牛脂またはラードを小麦粉に混ぜた疑似肉です。かの海賊たちも食べていたというシロモノで、牛脂またはラードと小麦粉は1対1。牛脂50グラムなら小麦粉も50グラムになります。これに水少々と、塩を加え、そば粉をこねる要領で混ぜます。焼いて食べてみると、「んっ!」。まぁ~、本物の肉とはいきませんが、ミートパイの味に近いものがあります。子供たちが「お肉じゃな~い」とダダをこねるようなら、海賊になって「これはステーキだ、食え、おめだ(おまえら)」と言い張ってください。誰も船長には逆らえないでしょう。
⑧激熱カイロでレトルトカレーを温める
市販されている使い捨てカイロの温度はせいぜい30~45度ほどですが、中には最高温度が80度前後の激熱カイロも売られています。「マグマ」(最高73度=小林製薬)や「GEKI-ATSU」(同79度=アイリス・ファインプロダクツ)などです。卵の黄身が固まるのが65~70度とされますから温泉卵くらいはできてしまう温度です。
80度もあれば防寒としての使用のほか、レトルトカレーなどの温め直しも可能です。
⑨豆苗、ネギをキッチンで栽培
スーパーで買ってきた豆苗や小ネギなどは、食べ終わった部分を再利用し再収穫が可能です。茎から下の部分を残した豆苗は、根を水に浸しておくと新しい芽が出て7日から10日で再収穫できます。スーパーで買ってきたカイワレ大根は再生が難しいので、栽培キット(500円程度)を購入して種だけ買って補充すれば、何度でも栽培できます。
不穏な時代ですが、創意と工夫で乗り切りましょう。それでは!
▽トッカグン小野寺耕平 1983年、宮城県南三陸町出身。よしもとクリエイティブ・エージェンシー東京所属。元陸上自衛隊仙台駐屯地第2特科群の自衛官。チャンネル登録者数25万人のYouTube「トッカグンの東京サバイバル」運営。今月末に「そこにあるモノでなんとかする!小野寺流サバイバル」(徳間書店=Amazonで予約受け付け中)を発売する。