【かぼちゃ煮の炊き込みご飯】煮汁は最後の一滴まで食いつくす
弱火でコトコト煮るだけでおいしくなる煮物は“最強の常備菜”だが、実に悩ましいのが、煮汁である。鍋や保存容器に残った煮汁を見るたびにもったいないなあと思う。
食材のうま味が出ている煮汁を洗い場で流してしまう暴挙は極力避けたい。かといって、そのまま飲むのは気が引ける。そんなわが家の煮汁問題に一石を投じたのが、炊き込みご飯だ。
先週末はスーパーの店頭に並んでいた鹿児島産のかぼちゃを購入し、ほんの少しの塩と砂糖で煮た。かぼちゃ本来の優しい甘さと味わいが際立つよう、しょうゆは使わない。
そして煮物を楽しんだ翌日は決まって、かぼちゃのサラダにリメークする。軽く潰して少量のマヨネーズとクリームチーズ、塩コショウ、シナモンパウダー、レーズン(クルミもあったらなおよし)を加えて混ぜるだけ。前日の焼酎のお湯割りから白ワインの合う晩酌に早変わりだ。
煮物とサラダで楽しんだ後、いよいよ残りのかぼちゃ煮と煮汁を使って“真打ち”の炊き込みご飯。炊き込みご飯は「魚介・肉・山菜などを入れ、味付けして炊いた御飯」(デジタル大辞泉)とあるように汎用性が高い。
だが、具材の組み合わせは、一歩間違えると男女の相性のように大ゲンカとなり、修復不能になることも。それゆえ慎重に見極めなければならないが、冷蔵庫にベーコン、キッチン棚の奥にコーンの缶詰を見つけた瞬間、〈ととのった……〉とほくそ笑む。きょうは理想的な締めに仕上げられそうだ。
あとは水分量に気を配るだけ。かぼちゃ煮自体に水分を含んでいるので、煮汁+水の“合わせ汁”は、炊飯器のクセにもよるが、白飯の時より気持ち控えめに。この日は米2合で380㏄の水分量にしたら、食べ応えのある硬さに炊き上がった。
煮汁を最後の一滴までおいしく始末できる炊き込みご飯。悩みを解決するだけでなく、炊飯器のフタを開ける瞬間のワクワク感まで漏れなくついてくる。
(日刊ゲンダイ編集部)
【材料】
・米…2合
・かぼちゃの煮物…適量
・かぼちゃの煮汁+水…380㏄
・顆粒だし(洋風)…大さじ2分の1
・ベーコン…2枚
・コーン(缶詰)…60グラム
・お好みでバター(8グラム)
【作り方】
(1)米をとぎ、ざるに上げて1時間ほど置く。
(2)かぼちゃの煮物(写真①)はひと口大、ベーコンは1.5センチ幅にそれぞれ切る。
(3)炊飯器の釜に①と、かぼちゃの煮汁と水を合わせて380ミリリットルに計量したものを注ぎ、②、コーン、顆粒だしを加えて普通に炊く。
(4)炊き上がったら(写真②)、お好みでバターを加え、サックリと混ぜ合わせて出来上がり。