シャルパンテ 藤森真さんの巻(4)

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おそうざいと煎餅もんじゃ さとう(東京・代々木公園)

 神田や日本橋で欧風ワイン居酒屋を運営するソムリエのこの人は、コロナ対策をしっかりしながら食べ歩きを続け、食のアンテナを磨く。そんな達人がお薦めする第4弾は、地下鉄千代田線の代々木公園駅から歩いて3分ほどの「さとう」だ。

「屋号に『おそうざい』とあるように、もともとは総菜屋さんです。その奥の座敷スペースに鉄板を1台置いて、もんじゃを扱うようにしたところ評判で、3台の今のスタイルになりました。わざわざ『煎餅もんじゃ』と冠している通り、昔懐かしいパリッとした焼き上がりですが、肝心の中身はとにかく斬新。メニューを見ても、想像がつかないでしょう。それが面白いし、クオリティーが半端なく高いのです」

 記者も東京生まれで、「煎餅もんじゃ」とはうれしい。もんじゃ好きの同僚と2人、期待して店に向かった。

 サッポロ赤星の瓶ビール(800円)で乾杯すると、おそうざい3種おまかせ盛り(1200円)とその日のおすすめから稚鮎のフリットぶどう山椒味噌(800円)をチョイス。

 おそうざいは肉じゃがと油淋鶏、キノコとシラスの卵とじで、どれもホッとする。山椒を利かせたフリットはパンチのある一品。料理人の実力を感じる。

「オーナーは、ポルトガル料理店を経営されていて、過去にはタイ料理店を営んでいたこともあります。スパイスの使い方が巧みなんです」

 藤森さんの説明に納得する。序盤から箸が止まらず、ビールもあっという間に空だ。生レモンサワーにしよう。

「高いのと安いの、どちらにしますか?」

 スタッフがおかしなことを言った。いわく、ベースの酒の種類が違い、安い(700円)のはキンミヤ焼酎にトニックを加えてスッキリと、高い(800円)のは麦焼酎でコクを出しているとか。ならば同僚とそれぞれ1杯ずつ頼むと、「高いの、安いのー」と大声で注文を通したから、思わず笑ってしまった。で、このレモンサワー、どちらもウマい。飲み過ぎ注意だろう。

「レモンサワーもおいしいのですが、お薦めはワインです。ナチュールワインがとにかく安い。ポルトガル料理店で培ったワインの仕入れルートがあればこそです」

 一本一本に国名と料金、ブドウの種類、特徴を記した札がつけられていて、お薦めの3本から微発泡の白を選択。3840円は良心的。結論から言うと、このワインがもんじゃに合う。

「アゼルバイジャンニラ玉」のソースは何と…

 さて、もんじゃだ。レギュラーメニューにあるのは、海鮮、チーズ、たらこ、レモン、牛すじなどおなじみのラインアップ。スゴイのは日替わりもんじゃで、アゼルバイジャンニラ玉(1800円)は頭に「?」マークが並ぶ。大中国発酵鯛麻辣(2000円)からは鯛の辛さは想像できても、さて仕上がりは? メキシコテキーラタコス(1800円)は、果たしてタコスなのか、もんじゃなのか……。

 出てきてからのお楽しみであえてナゾは解き明かさず、アゼルバイジャンと大中国をチョイスした。まずはアゼルバイジャンから。

「アゼルバイジャンでもニラを食べるそうで、そのニラにジェノベーゼソースで味をつけます」

 ニラの下には、緑と赤のキャベツがあって彩りがいい。途中で卵を投入し、「半熟に仕上げます」。最後に刻んだトマトをまぶして出来上がり。その傍らには、パリッとした生地が丸まって、インド料理のドーサのような存在感を放つ。

 オンリーワンのもんじゃは藤森さんの説明通り味に一体感がある。料理としての完成度がすこぶる高い。味の決め手となるジェノベーゼソースがワインを誘うのだ。

 そして大中国。「鯛は腐乳につけて揚げています。ウマ味が増すんですよ」ともんじゃの手間暇を超えている。仕上げにパクチーやネギ、ミョウガに山椒をのせ、黒酢をかけて完成だ。鯛のウマ味、麻辣の風味、どちらも抜群。辛党にはたまらない。

 奇抜なもんじゃとナチュールワイン。覚えておいて損はない。 (取材協力・キイストン)

■おそうざいと煎餅もんじゃ さとう
 東京都渋谷区富ケ谷1-9-22 守友ビル1階 ℡03.6804.9703

■シャルパンテ
 欧風ワイン居酒屋「VINOSITY」を展開するほか、ワインショップやワインスクールも運営。飲食店のプロデュースや開業支援なども行う。

▽藤森真(ふじもり・まこと) 日本ソムリエ協会認定シニアソムリエ。フレンチレストランなどでバーテンダーを務め、ソムリエの先駆者、田崎真也氏の薫陶を受ける。ピッツェリアやステーキハウスなどを手掛ける「スティルフーズ」で支配人に。2010年、シャルパンテを設立。

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