「薄毛票」の争奪戦と化した3月の大統領選 韓国エンタメよりも面白い
以前、韓国人男性から言われたことがある。
「韓国では背の低い美人よりも、背の高いブスのほうが好まれる」と。別の男性にも聞いてみると「高身長の女性と付き合うのがステータス」という話だった。
外見重視の美容大国では“低身長”と“肥満”が体に関する悩みで上位を占めているが、それ以上に深刻なのが“薄毛”の問題だ。5000万人の韓国人のうち、薄毛に悩む人は1000万人近いといわれている。それも高齢者だけでなく、20~30代の若者にも多いというのだ。見た目の良し悪しは面接を伴う就職採用試験に直結する問題だが、効果があるとされる医薬品は海外から輸入するので治療費は高額になる。20万~30万円といわれるカツラも使っているうちに毛が抜けるので1つでは足りず、負担が大きいそうだ。
こうした社会問題(?)を利用したのが大統領選の与党候補・李在明(イ・ジェミョン)氏だ。「脱毛治療の保険適用」を公約に掲げ、国民を驚かせた。くしくも韓国語では「毛を抜く」と「選出(投票)」が「ポッタ」という同じ言葉になる。李在明氏は動画で有権者にこう問いかけた。