大阪府と読売大阪本社が包括協定…監視すべき対象との距離の近さは報道への信頼を奪っていく
「猫」がヒットして去年の紅白にも出場したDISH//のリーダーで若手アーティストの北村匠海さんが元日のテレビで「今年の目標は?」と問われて「止」と書いた。そして「去年はヒット曲が出たが、ここで一度立ち止まって自分たちについて考える年としたい」という趣旨の話をした。あの小倉智昭さんが「恐ろしい才能の持ち主」と評価した若者は、恐ろしいほどの冷静さで自分たちを見ていた。
しかしそうはできない人たちがいる。去年の暮れにある記者会見に出てそれを感じた。12月27日に大阪府庁で行われた大阪府と読売新聞大阪本社が包括協定を結ぶという会見(写真)だ。
協定は、教育・人材育成、情報発信、安全・安心、子ども・福祉、地域活性化、産業振興・雇用、健康、環境、およびこの協定の目的に沿うさまざまな取り組みについて、両者が連携・協働を促進させていくものだという。
会見で吉村洋文知事も、読売新聞大阪本社の柴田岳社長も、この協定によって報道にいかなる影響も及ぼすことはないと語ったが、その根拠は、大阪府から取材制限や逆に取材便宜を受けることはないとする協定の文言だった。