東京で働き週末は八ヶ岳の山荘で 現役サラリーマンが実践「2拠点生活」成功のコツ
一目惚れして山荘を購入
金曜日になると定時に会社を出て、新宿駅午後7時発の特急あずさ49号に飛び乗る。約2時間後、小淵沢駅に降り立つと、駅前駐車場に常駐させている愛車の4WDジムニーのアクセルを踏み込んだ。
そこは八ケ岳の麓の管理別荘地にある三角屋根の小さな2階建ての山荘。サラリーマンの小林正彦さん(62)はコロナ禍、東京と八ケ岳で2拠点生活を送った。
「山での暮らしは若い頃からの夢。50代も後半になって、酒を飲みながらネットで不動産情報をチェックしていたら、一目惚れしてしまい、購入しちゃったんです」
自ら薪割りしたストーブをともすと、ボブ・ディランをビクターのスピーカーから大音量で流し、大好きな晩酌でくつろぐ。隣近所と近い都会じゃないから、外に出ても、マスク着用も必要ない。
「鳥のさえずりで目覚めると、やりたいことがたくさんあって、じっとしていることはまずありません。ログハウスの工房を建てるべく丸太づくりからやったりしてるので、まあ当然ですけど。それがまた楽しいんですよ」
妻の理解を得られたことがきっかけ
効率最優先の時代とは逆行するような時間の使い方。渓流、牧場、山麓散策、秘境の温泉がすぐ近くの上、道の駅で地産の新鮮野菜を買える。羨ましい限りだが、平均年収クラスのサラリーマンには夢のまた夢か。
「そんなことはないと思いますよ。私も悠々自適というわけではなく、まだまだ現役で仕事しなきゃならないし、余生を楽しもうという気もない。最近はコロナ禍の影響で都会を離れる人が多く、八ケ岳も移住者や、2拠点生活者が増えています。格別に優雅な生活を望まなければ、資金繰りに合った物件はあると思う。いろんなサイトをチェックしてみると、いいと思いますよ」
小林さんは子どもが独り立ちし、妻の理解を得られたことが、一歩踏み出すきっかけになったという。仕事も生活も多様化する今、2拠点の実現は思い立ったが吉日なのかもしれない。