「朝活」の合気道がサードプレイスに…透析寸前から奇跡の回復を遂げた50代男性の話
まだ夜も明けやらぬ早朝、東京・新宿区若松町にある合気道本部道場では体を畳にぶつける音が響く。始発電車でスーツ姿のサラリーマンらがやって来て、6時半からの朝稽古に励んでいるのだ。マスク着用で感染対策を取りつつも、活気がみなぎる。
「いまが青春まっしぐら」と言うのは、元丸の内サラリーマンで会社経営の吉田英二さん(57)。神奈川県内の自宅から約1時間かけて週6日、通う。投げられ、押さえつけられては起き上がり、1時間の稽古後は全身汗だくで湯気が立つ。
「本部道場に入門して2年と3カ月、持病の糖尿病から網膜症になり、運転免許を更新できずに身体障害者手帳をもらい、人工透析一歩手前で落ち込んでいたのが嘘のようです。血糖値(HbA1c)は11から7に下がり、腎機能数値(eGFR)も20で踏みとどまっているし、気持ちも爽やか、前向きで、自信がよみがえり、10代に戻ったみたいです」
合気道は柔道や剣術を極めた武道家、植芝盛平が開祖となり、国内のみならず世界140カ国に広まっている現代武道。形稽古を繰り返し、勝敗を競わず、試合も行わない一方、5級からの昇級昇段審査で、己の心と技の精度を追求していく。