立憲民主党・泉健太氏「批判がいけないとは思っていない 大事なのは提案と追及のバランス」

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泉健太(立憲民主党代表)

「47歳の新しい船長が誕生いたしました」ーー。10月の衆院選で敗北した責任を取って辞任した枝野前代表からバトンを受け継ぎ、党の再出発をアピールした立憲民主党の若き新代表。さっそく、執行役員の半数を女性にするという代表選公約も実現させた。体制刷新で野党第1党を立て直すことができるのか、政権与党とどう対峙していくのか。そして、来年の通常国会、参院選に向けての展望は?

■代表質問では政策立案力があることを示したかった

 ──12月6日から21日まで臨時国会が開かれ、代表として臨んだ初の論戦では、「追及型」から「提案型野党」への転換を意識しているのが伝わってきました。

 立憲民主党には政策力や提案力もあるのだけれど、これまで対決力や闘争力ばかりが強調されていたせいで、衆院選で有権者の評価をいただけなかった。優秀な人材がたくさんいて、政策立案能力があり、国民の皆さまのために働いている政党だということを認識していただくために、「提案型」を意識的にアピールしたのは確かです。

 ──初めて党首として代表質問に立った手ごたえは?

 代表質問で私は、新型コロナ対策や経済対策など17項目の提案を行いました。立憲民主党に具体的な政策立案力があるということを示したかったのですが、おおむね好評をいただいています。新体制も幸いスムーズに構築できて、臨時国会2日目には文通費(文書通信交通滞在費)の日割り支給や国庫返納を可能にする改正案を単独で提出しました。それが他党の評価も得て、国民民主党日本維新の会も乗ってくれた。これは短期間の臨時国会で実現できた成果だと思います。

 ──「提案型」もいいのですが、野党が提案して、それを与党が受け入れても、結局は与党の手柄になるだけではないですか?

 われわれは与党に対して提案しているのではない。どうすれば国民のためになるかという国民の皆さまへの提案です。今回の18歳以下への10万円給付の問題でも、まずわれわれが事務費の無駄を指摘して、最終的に岸田総理が方針を転換したわけです。野党が問題提起をしたということは知っていただきたい。数が少ない野党でも、国民生活のためにできることはある。数が増えればもっとできることが増える。そこを見て欲しいと思います。

 ──「聞く力」が自慢の岸田首相は、ある意味で柔軟で、野党の提案をあっさり受け入れることもある。かえってやりづらくないですか?

 誰が相手だとやりやすい、やりづらいということはなく、最善の策を訴えるだけです。10万円給付の問題も、方針転換したのはよかったですが、決して判断が早かったわけではない。おかげで自治体も国民も混乱しました。12月15日には、森友学園をめぐる決裁文書改ざん問題で、自殺した赤木俊夫さんの妻・雅子さんが起こした訴訟について、国が突然「認諾」の手続きを取って裁判を終わらせた。こんな強引なやり方は、やはり国民感覚からズレているし、「聞く力」が発揮されているとは思えません。

政府・与党の不祥事や疑惑を追及するのは当然

 ──年明けからは長丁場の通常国会が始まる。それが終わればすぐ参院選です。「提案型」で与党を追い込めますか。

 大事なのは提案と追及のバランスです。「批判ばかりではいけない」と言っているのであって、「批判がいけない」とは思っていません。政府や与党からは、統計データの書き換えなどさまざまな問題が出てきます。問題を放置しない野党の正義感に対する国民の期待もある。不祥事を追及するのは当然なのです。ただ、不祥事や疑惑対応のみの国会論戦になってしまうと、わが党が本来は訴えたい政策が国民に届かなくなってしまいます。

 ──「野党は批判ばかり」というイメージが衆院選の敗因だと考えているのでしょうか。

 批判力だけではなく、政権担当能力も持って欲しいということだと思います。政権選択選挙でありながら、政権を担う陣容を明らかにできなかった。自民党とは違う国家観や経済政策ですね。直前に菅政権から岸田政権に代わって調整が必要になったこともあり、消費税引き下げや所得税減税などの目玉政策を訴えるのもギリギリになってしまいました。また、立憲民主党の政策なのか野党全体の政策なのか、政権の政策なのかということも曖昧で有権者に分かりづらかった。それで、単独政権なのか、連立政権なのかもハッキリしないまま、共産党の「閣外からの協力」という言葉が独り歩きしてしまった。それらは反省点です。

 ──その反省は来夏の参院選にどう生かしていくのでしょう。また、共産党との選挙協力は?

 新執行部で衆院選の検証作業に着手したので、年明けに総括が出る。共産党との関係については、参院選の「1人区」では選挙協力が必要です。とにかく早急に候補者の擁立と調整を進めていかなければなりません。自民党はすでに幹事長ら幹部が選挙区を回っていますからね。年内にも衆院選惜敗者などの公認内定を始めていく方針です。

 ──支援団体である連合の会長が共産党との共闘関係について「あり得ない」と発言し、まるで連合が立憲の上部組織のような主従関係に見えるという有権者の声もあります。

 それは連合会長の強い「思い」ということですよね。少なくとも主従関係はないし、むしろ立憲が連合の思い通りになっていないから苦言を呈したわけでしょう。もちろん、政策協定を結んでいる間柄なので、仲良くやっていますよ。ただ、連合は国民民主党とも政策協定を結んでいますから、組織内に立憲に対する異論があるのも分かります。

 ──連合としては、立憲と国民がひとつの党になった方が支援しやすいという事情もある。

 自民党の派閥と比べて、立憲と国民の政策の違いが大きいかというと、そんなことはない。一緒にやれると考える人が多くても不思議はありません。別の党である以上、戦わなければならない時もありますが、自民党とは違う政権をつくるという大義に立てば、どういう形かは別として、協力していくことは自然ではないかと思っています。

■維新との選挙協力はまったく考えていない

 ──ただ、衆院選後は国民と維新が距離を縮めています。

 維新は国民と接近して、立憲と国民が協力し合うことを妨げようと、くさびを打ち込んでいるのだと思います。改革政党を掲げて存在感を発揮しようとしているのでしょうが、実際にやっていることを見ればパフォーマンスの色彩が強い。どちらが本当に国民の方を向いているかという競い合いですね。安倍・菅政権で与党の補完勢力だった維新は、岸田政権になっても本質的には変わらない。自民党と対峙しない政党との選挙協力は、現時点ではまったく考えていません。

 ──若い新代表に代わり、執行部刷新で支持率が上がるという予想もありましたが、今のところ各社の世論調査で立憲の支持率は低迷したままです。

 執行部のメンバーが代わったくらいで支持率が上がれば苦労はしません。わが党の活動を見てもらって、徐々に信頼を高めていくしかありません。追及力と政権担当能力は違う。国会論戦では、その両方を見せなければなりません。

 ──とはいえ、多くの国民は国会中継をすべて見ているわけではない。政権担当能力をどうやって伝えるのか。

 そうですね。国会での活動や、決して「批判ばかり」ではないということを伝えるには、発信力を高める必要があります。具体的にはメディア出演やSNSなどでの発信、それから私と小川淳也政調会長で始めた「青空対話集会」を精力的に行って全国で意見交換すること。岸田首相の「聞く力」以上に、われわれは「聞き出す力」を発揮しなければいけません。私の組織運営の哲学は、代表だけが目立つのではなく、所属する一人一人が輝く組織であること。そして、地域で発生している諸問題に心を砕き、国民に寄り添う立憲民主党であるということを積極的に示していきたいと思っています。

*インタビューは【動画】でもご覧いただけます。

(聞き手=峰田理津子/日刊ゲンダイ)

泉健太(いずみ・けんた) 1974年、札幌市生まれ。立命館大法学部卒。福山哲郎参院議員の秘書を経て、29歳で衆院選に初当選して以来、8期を数える。希望の党、国民民主党、立憲民主党で国対委員長や政調会長を歴任。2021年11月30日の立憲民主党代表選で代表に選出された。

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