指先を使う手仕事が喜びを紡ぎ出す 雑草抜きで嫌なことを忘れられる
野菜づくりはほとんどすべてが指先を使って行う手仕事だ。
種をまき、発芽した苗を植え替え、植え穴を掘り、植えつける。ジャガイモの芽かきをし、大きく育ったトマトに支柱を立て、麻紐で結んで固定する。いったい年間何度指先を使うことだろう。
とくに指先に神経を集中させなければならないのは、きれいに発芽したホウレンソウやカブや大根の間引きを行う時だ。雑にやると本当は残したい苗まで引っこ抜いてしまうからだ。トマトやナスの脇芽かきをする時も指先に神経を集中させる必要がある。脇芽は肉眼ではなかなか見つかりにくいので、トマトやナスの茎を指先でまさぐりながら探しあて、草姿を見てそれが必要なものか不要なものか判断し不要ならかき取ってしまう。この作業を繰り返し行わないと側枝がたくさん伸びすぎ、小さなトマトや小さなナスしか実らなくなってしまうからだ。
ブラックベリーやふさすぐりやイチゴを収穫する時も指先が活躍する。ジャガイモの葉につくテントウムシダマシという害虫を捕殺する時もやはり指先に神経を集中させなければならない。というのも、この虫は気配を感じるとホロリと落っこちてしまうからだ。色が地味なので、地面に落ちたらもうどこにいるのか分からない。捕殺はまた翌朝にしなければならない。