迷走続くワクチン3回目接種 岸田政権は「一律の前倒し困難」とついに“白旗宣言”

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 現場は大混乱するに違いない。岸田首相が所信表明演説で「8カ月を待たずに、できる限り前倒しする」と表明した新型コロナワクチンの3回目接種を巡り、後藤厚労相は7日、「ワクチンは順次輸入されるもので、全国民を対象に接種の前倒しを一律に行うことは困難」と発言。欧米で追加接種の前倒しが進む中、事実上の「白旗宣言」だ。

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 日本では、2回目と3回目の接種間隔は「原則8カ月以上」。厚労省は例外的に「6カ月」に短縮可能との基準を示しているが、あくまでも医療機関や高齢者施設でクラスターが発生した場合に限られている。しかし、クラスターが起きた後に対処するとは、相変わらず後手後手だ。

「原則8カ月」に固執する日本に対し、欧米は先手先手。接種間隔を「6カ月」に前倒しし、英国に至っては「3カ月」に短縮した。日本もデルタ株の感染力を凌駕するといわれるオミクロン株の上陸を許してしまっただけに、追加接種の遅れは感染再拡大につながりかねない。

前倒しできても基準が曖昧

 岸田政権が全面的な「6カ月後接種」に踏み出せないのは、ワクチンが足りないからだ。「8カ月」から「6カ月」に前倒しした場合、来年3月末までの3回目接種対象者は約4100万人から約7800万人に膨れ上がるが、余っている在庫は約3100万回分しかない。

 在庫を使って一部を「6カ月」に前倒しするとしても、問題は基準だ。後藤大臣は「国内の感染動向や自治体の準備状況、ワクチンの供給力を踏まえたうえで前倒しの範囲や方法を示したい」と曖昧な説明に終始する始末。都内区部のワクチン接種担当者は「前倒しできる自治体と、できない自治体の間で無用な競争が生まれかねない」とタメ息交じりだった。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。

「結局は政府がどうするか、どうしたいか、具体性に欠けているのが問題です。追加接種について自治体の状況を見て判断すると言えば聞こえはいいが、ワクチン供給の主体である政府の指針が曖昧では、接種を担う自治体は動くに動けない。国民も混乱する。甘い見通しで世界から後れを取ったワクチン政策を巡る迷走が、今も続いている印象です」

 追加接種で混乱しているうちに第6波が襲来したら、もはや目も当てられない。

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