コロナ禍でふるさと納税「返礼品」に異変! 墓参り代行が急増、オンラインツアーも人気
年末も押し迫り、今年分のふるさと納税の申し込みもそろそろ終わりだ。高級和牛やカニなどの返礼品が人気だが、コロナ禍などで返礼品にも変化が起きている。
ふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」によると、約1600の自治体において昨年と今年で顕著に増えた返礼品の一つが「お墓参り代行」。20年には登録累計件数が1.4倍、寄付金額も約2倍に増加。今年(6月時点)も登録件数が約1.3倍になり、一昨年比で約180%の伸びだ。
徳島県海陽町ふるさと納税担当によれば、「コロナで帰省を控えていることをきっかけに墓掃除サービスを申し込まれる方が増えている。一度申し込むと繰り返し利用する人もいる」そうだ。一方で、福島県南相馬市は微増。鹿児島県霧島市は申し込みはゼロ。「お墓を大事にする文化で、地元に親戚の方が多いためでは」と話す。地域差がかなりあるようだ。
また、ふるさとチョイスによれば、コロナ禍で変化が見られる返礼品は次のようなものが。
福岡県柳川市では、コロナ禍で売り上げが激減した創業300年の老舗うなぎ料理屋本吉屋も、返礼品に登録。
岩手県北上市では、コロナの影響を受けた北上市の米農家と鹿児島県大崎町の焼酎酒蔵を支援するために、米焼酎を共同開発して返礼品に登録した。
Zoomを使ったオンライン体験型も新しい傾向だ。兵庫県神戸市は「神戸牛と牧場見学オンラインツアー」を用意。普段は関係者以外立ち入ることができない農家や加工工場などをZoomで見学、切り落とし肉など600グラムの返礼も用意する。長崎県壱岐市は、Zoomを利用したライブ配信で朝市の食材を注文できるそうだ。
SDGs関連の返礼品が急増
さらに、ふるさと納税サイト「さとふる」によれば今年はさらに新しい傾向が見られるという。
「以前からある訳あり品も寄付数3倍と大きく伸びているが、今年はSDGs(持続可能な開発目標)、コロナ長期化によるおうち時間関連のほか、感染縮小を受けた旅行気分を味わう返礼品の伸びが顕著です」(広報担当者)
SDGs関連の返礼品登録は昨年比で約6.9倍。たとえば、岩手県宮古市の東日本大震災で被災したヨットの帆を再利用したトートバッグ。またコロナ感染縮小が見られた9月以降は、温泉利用券や地ビール返礼品の寄付数がそれぞれ約4.4倍、約3倍に。アロマの寄付数は約2.1倍、パジャマも約2.8倍になったそうだ(いずれも昨年比)。
ふるさと納税は時代を映す鏡でもあるらしい。