【Q】マンションの隣の部屋と騒音トラブルに…解決策はないか
マンションの隣の住人との騒音トラブルで困っています。隣は夜中に帰宅した時や深夜の音がうるさいと不動産屋を通して言ってきました。こちらも隣で子供を叱る音なのか喧嘩のする音なのか聞こえてくるので、不動産屋に苦情を言いました。上の階と下の階はトラブルになりやすいという話は聞きますが、隣からの苦情は意外でした。夏に引っ越してきたばかりなのでまだ動けません。騒音トラブルの解決策はありますか。 (横浜市.35歳)
■荒了寛先生いわく「こちらの方から頭を下げれば許し合うことができる」
以前に住んでいたマンションで水漏れ事故を起こしました。飼っていた熱帯魚の水槽のくみ上げポンプの結合部が外れ、水槽の中の水で床の上が水浸しになったのです。その上、下の階の部屋を汚してしまいました。その事故があった時は家族旅行で家を空けていて、帰宅した時に扉の前に張られてあった紙で事情を知ったのです。
早速、女房ドノが下の階の部屋に住む方におわびにお伺いをして、水槽のくみ上げポンプの故障が原因との説明を申し上げ、お部屋を汚した分のご請求をいただくようにとお願いしたのです。
下の階の部屋には若夫婦と幼児の3人が住まわれていて、「別に損害を請求するほどのことでもないから」と寛容なお許しをいただいたのです。
ところが、それから半年も経たないうちに深夜、水槽は同じ故障をし、再び下の階の部屋を汚すことになったのです。翌朝、下の階の奥さまに伝えられるまで事故のことは知りませんでした。顔色を変えて猛攻撃してきた若奥さまに対応したのは、コンビニに出かけて留守をしていた我が女房ドノに代わり、私でした。
若奥さまは私の顔を見ると驚き、ギョッとした表情をなされ、無言で立ち去られました。帰宅した女房ドノは「なんでアンタが顔を出すのよ」と私をなじり、とるものもとりあえず下の階の若奥さまにおわびにお伺いしましたが、扉越しの受け答えだけで直接お会いすることがかないませんでした。
それから3週間ほど経ち、下の階の若夫婦はいずこかへ引っ越していかれたのです。これ以上関わりを持っていたら幼い子供がある身でどんな災いに遭うかもしれないと緊急避難されたように推察します。
落ち着いて話し合う機会を持てれば巷間で伝えられているような「価値紊乱者」でもなく、悪意を持つ人間でもないことはご理解いただけたはずでございましたのに、一方的に対話の機会を失われたことは誠に残念でした。
また、「急な引っ越し」の余分な出費の負担をさせてしまったことを今でも申し訳なく思っています。
この私のケースのように、話せばわかることでも話し合いの機会を失うと猜疑心が募り、誤解が誤解を生んでのっぴきならなくなることがあります。まさしくあなたさまの状況はそうした危険水域にあるように考えます。私の恩師の天台宗ハワイ別院の荒了寛先生は「どんなことでも、こちらの方から頭を下げれば許し合うことができるものだ」との言葉を残されています。自分の方からわびを入れる、という才能を滋養なされるおつもりで、あなたさまの方から和解を試みられてはいかがでしょう。これまでの人生で隣人と喧嘩をして得をした人間を一人も知りません。隣人とは縁あって袖を振り合う通りすがりの人間のようなものです。通りすがりの人間といさかいを起こし、勝った負けたをやっているのは通り魔ぐらいです。
◆9月30日、連載が単行本になりました!!「全裸監督が答える不道徳で世界一まっとうな人生相談」(発行:日刊ゲンダイ 発売:講談社)