【北海道4区】麻生氏「温暖化北海道米」発言で注目、野党女性候補が農水副大臣を抜き去る
【北海道4区】
中村 裕之 60 自前
大築 紅葉 38 立新
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自民党の麻生副総裁の“温暖化 北海道米 おいしくなった発言”で一気に注目選挙区となった北海道4区は、岸田政権で農水副大臣となった中村氏とフジテレビ元記者の大築氏が横一線の激戦。中村氏の応援には麻生副総裁だけでなく岸田首相や安倍元首相らも駆け付け、一方の大築氏にも枝野代表と蓮舫代表代行が2回ずつ現地入りするなど、与野党でヒートアップしている。
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「ただ4区が激戦区となったのはごく最近」と話すのは道政ウオッチャー。
「大票田の小樽市生まれの大築氏は、性行為の同意年齢を巡る不適切発言で7月に議員辞職した本多平直の後継。出馬表明が8月16日と出遅れたのはこのためですが、『4区初の女性国会議員』との期待もあって猛追、一気に抜き去ったようです」
蓮舫氏が2度目の応援演説をした27日の街宣で大築氏は、「4区から初の女性国会議員を」というプラカードが並ぶ中、コロナ対策の次に最重要課題の地域活性化について、こう訴えた。
「(寿都町では)『核ごみを受け入れないと人口減少対策がしていけない』という声も上がっている。でも私は、北海道には無限の可能性があると思っている。豊かな海、おいしい海産物。そして熱い魂を持った道産子たちがいるではないか」「政府はすぐに(原発)再稼働に頼ろうとしているが、自然エネルギーの可能性をもっと追求していきましょう」
原発問題も争点
4区には札幌市の一部と小樽市に加えて泊原発のある泊村や核のごみ問題で揺れる寿都町なども含まれる。26日投開票の寿都町長選では核のごみ最終処分場選定に向けた文献調査を進める片岡春雄町長が、反対派に僅差で勝利したものの、地域は真っ二つに分断されたまま。4区では原発問題が争点化している。
一方、道議を経て衆院議員3期の中村氏は、原発再稼働を認める立場で、核のごみ問題も地元の判断に委ねており、大築氏のように反対を主張することはない。中村氏のアピールポイントは副大臣就任。28日には金子農相が余市町を訪れ、「せっかく副大臣にした中村候補を私の右腕として働かさせてください」と支持を呼び掛けると、隣の中村氏が思わずガッツポーズ。だが、逆風となる恐れもある。「隣で聞いていたのに、なぜ麻生発言を即座に訂正させなかったのか」と農水副大臣の資質が疑問視されているのだ。
中村氏に理由を聞くと、「麻生さんは頑固だから。前に同じことを言って『品種改良をやっている話だから駄目です』と言ったが、それでも言うから」と答えた。
同日には安倍元首相も応援で札幌入り。アベノミクスの自画自賛はしたが、麻生発言については触れなかった。4区は「原発推進で長老配慮型の中村対原発なき地域振興の大築」という戦いだ。
(ジャーナリスト・横田一)