【鶏皮の煮こごりとふりかけ】捨てられる食材が見事に生き返った
都内の最高気温が20度を下回り始めた過日、近所の鶏肉専門店に出かけたときのことだ。
千葉県産の地養鳥を扱うこの店には、首から足までありとあらゆる部位がショーケースに並んでいる。夕食に水炊きでもしようと、100グラム142円の骨付きもも肉ぶつ切りを注文。店主が年季の入った包丁で手際よく大ぶりの一口サイズに切ってくれるのをボンヤリと眺めながら待っていると、横に並んだご婦人の声が耳に入ってきた。
「胸肉を1枚、皮は取ってくださいね」
世はヘルシー志向。100グラムで約500キロカロリーの鶏皮を敬遠する人が多いのか、ご婦人が帰ったあとに店主が言った。
「胸肉? ああ、皮はいらないってお客さんは少なくないよ。さっきも、近所の旦那が同じようにして買ってった。皮はうまいんだけどねえ」
ですよね。鶏皮300グラムを追加注文。店主のアドバイスを聞いて、「煮こごり」と「ふりかけ」をつくることにした。
まず、ふりかけ。鶏皮1枚(約40グラム)に塩を振り、キッチンペーパーに包む。それを冷蔵庫に入れて一昼夜、脱水するのがポイントだ。脱水した鶏皮を中火に熱したテフロンのフライパンで焼いていく。鶏皮から脂が出るので、油は引かない。
フライ返しで強く押し付けながら、両面がカリカリになるまで焼き付けたら、脂をきって冷ます。それを塩こしょうと一緒にビニール袋に入れ、棒で叩くか手でもんで細かく砕いたら完成だ。
味付けは塩こしょうの他、ガーリックパウダーやカレー粉、山椒や花椒などを加えて、好みの味に仕上げる。ご飯はもちろん、冷ややっこの薬味、炒め物の味付けとなんでも来いだ。皮から出た脂は鶏油として使えば、これ以上ない料理のコク出しになる。
煮こごりは冬の季語でこれからの時季にぴったり。口に入れて溶けた鶏皮のうま味を熱燗で洗い流す。捨てられる食材が見事に生き返った。
【材料】
・鶏皮…300グラム
・しょうが…1かけ
・ねぎの青い部分…5センチ×2
・市販の白だし(好みの濃さで)
・ゼラチン(煮汁200㏄に対して5グラム)
【作り方】
(1)鶏皮をねぎを入れた熱湯で1分半茹で、食べやすい大きさに切る。
(2)鍋に白だし(お吸い物よりやや濃い程度)を張り、①の鶏皮と千切りにしたしょうがを煮る。中火で約20分。
(3)煮上がったら、煮汁200㏄に対して5グラムのゼラチンを入れ、よくかき混ぜる。
(4)粗熱をとった③を型(タッパーなどでも可)に流し込み、冷蔵庫に入れて固まったら完成。食べる際に和がらしを添える。