富の偏在の解消は最優先課題 税の仕組みを再構築し、公平に恩恵が受けられる社会に戻さなければ
かつて私が所得の89%を税金で払っていた、というと驚かれるだろうか。日本の所得税の最高税率は現在45%だが、1983年以前は75%もあった。そこに住民税などをプラスしていくと、合計で89%にもなったことを今でも覚えている。
当時の私は30代後半から40代。人生でいちばん忙しい時期を過ごしていた。2日に一度はドラマ音楽などのレコーディングがあり、1週間の睡眠時間の合計が7時間しかないときもあった。収入もそれなりにいただいていたが、問題は税金だ。黒柳徹子さんが800万部超えの自伝「窓ぎわのトットちゃん」(1981年)を書かれた際、「9割が税金で引かれるのよ」とおっしゃっていたが、私も同じだった。多くの高額所得者が手元のお金だけでは支払えず、銀行から借金をしていた。私もその1人だ。