「ブロスダイニング」社長・鈴木一生さんの巻<2>

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りゅうの介(東京・麻布十番)

 こちらは、なだ万で同期の加賀田(龍之介)くんが営む日本料理屋さんです。場所は麻布十番にあって、新一の橋の交差点から麻布通りを古川橋方面に歩いて3、4分。きらぼし銀行の裏通りに面するビルの2階にあります。

 表通りから一本裏に入っただけで隠れ家的な雰囲気に包まれるかもしれません。階段を上がって扉を開けると、日本料理店らしく木のぬくもりを感じる落ち着いた印象です。それでいて、ホールを仕切る女将さんも、大将もとても気さくで、安心して食事ができて気持ちがいいのです。

 場所柄、接待利用が多いエリアですが、気の置けない仲間や夫婦、カップルが目立つのは、そのためでしょう。つかず離れずの接客で、旬のおいしいものをいただけるのがいい。

 先日、お邪魔したときは特選メニューとして、鳥取のノドグロが最初に掲げられています。ウマ味の塊は炭火焼きで。北海道から秋を伝えるサンマは金山寺味噌に和えて酒の肴に。秋田のマイタケは天然で、天ぷらです。さらに淡路のサワラ、岩手のマツタケ……。

 刺し身は、淡路の天然タイ、鹿児島のシマアジ、千葉のカマス、神奈川の黒ムツ……という品揃え。味覚の秋というだけに目移りします。

口も目も楽しむ料理が1人1万円以内のCPのよさ

「お造りは、おひとりさま用の盛り合わせもございますし、お料理は半分にできるものもございますので、何なりとお申しつけください」

 メニューを決めかねていると、さりげない女将さんの一言がうれしい。冬瓜と生湯葉とカニのあんかけを半分と、お造りの盛り合わせを1人分お願いして、ビールを飲みながらしばし待つこと10分ほど。お造りは、キンメダイの炙りと天然タイ、シマアジ、黒ムツ、ハモの5種盛りです。

 1切れか2切れずつが1人にはちょうどいい。この人気のネタで1800円は良心的。それぞれの魚の熟成もバッチリですから。

 冷たく炊いた冬瓜は、出汁の含ませ方がいいあんばいで、一緒に仕事をしていたころを思い出します。大将は器を吟味していて、それに合うように盛りつけも工夫。そんな勉強熱心なところを目にすると、こちらも仕事モードになります。この味いいな、この食材の組み合わせは珍しい、などと。一般の方はそこまで気にされないでしょうが、とにかく味はもちろん、目で楽しめる皿の連続です。何と白和えはクルミとシャインマスカットを合わせたりします。

 金山寺味噌でいただくサンマはなるほど、日本酒にピッタリで、マイタケは皿が提供された途端、香りが立ち込めます。ホッとする料理の数々ですから、気の置けない友人との食事に最適でしょう。

 これぞ日本料理の真骨頂というものを食べて、飲んで、1人1万円以内だと思います。コスパのよさは抜群です。

(取材協力・キイストン)

■りゅうの介
東京都港区麻布十番3―1―9 麻布十番319ビル2階
℡03・6435・1265

▽ブロスダイニング 料理の基本となる出汁(Broth)、料理人に重要な師弟関係の(Brother)、そして食事をする場所(Dining)を合わせた造語が社名になっている。和食の「SHARI」やカジュアルイタリアン「SERAFINA」などのほか、鉄板焼きなどの業態も。

▽鈴木一生(すずき・かずお) 辻調理師専門学校を卒業し、なだ万へ。当時の料理長が、テレビ番組「料理の鉄人」でおなじみの中村孝明氏。香港勤務を経て、中村氏が運営する「中村孝明有明店」の立ち上げに参加し、総料理長に。その後、ブライダルなどを手掛けるノバレーゼにスカウトされ、広島の料亭「三瀧荘」の料理長などを歴任。2019年、ブロスダイニング社長に。

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