「ブロスダイニング」社長・鈴木一生さんの巻<1>

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「くし家本店」(東京・新橋)

「コロナの前は、仕事が早く終わって会食の予定がないと、ふらっと寄って一杯飲んでいました。落ち着くんです」

 和の鉄人・中村孝明氏の薫陶を受けた凄腕料理人が挙げたのは、東京・新橋にあるガード下の串かつ店だ。烏森口の改札を出て、左にガード下の店を3軒目。店先に串かつの写真つきメニューがデンと掲げられていて、店の前を通る人に「いらっしゃい!」と店員が大きな声で呼び込みをする。ガード下のムード全開だ。

ソースの2度漬け禁止が定番

「大阪で串かつといえばソースの2度漬け禁止が定番です。東京で串かつは、チェーン店を別にすると、オシャレにコースで提供する店ばかりで、典型的な大阪スタイルが少ない。僕も一応、関西人なんで、2度漬け禁止の安い店の方が気軽に通えていいんですよ」

 大阪・守口市出身ときけば、2度漬け禁止の店に足が向くのも当然だ。コロナ禍の今、店のソースは感染対策から2度漬け禁止のスタイルからセルフでかける方式に変わっているが、メニューには牛かつや豚かつに交じって、紅しょうががしっかりと書かれている。

「衣をパリッと揚げ、具はそれぞれの素材の食感を生かしていて、揚げ加減がいい。若い人には具が小さいかもしれないけど、僕みたいな中年にはむしろ小ぶりなネタがサクッと飲んで帰るには、ちょうどいいんです」

6本セットは400円ほどオトク

 串は30種ほどで、110~297円。目移りして決めきれないときは、セットを選ぶといい。6本セット(902円)は肉2種、野菜2種、魚介2種で、この日は豚ロースと豚ヘレ、シイタケ、レンコン、エビ、イカだった。それぞれ1本ずつ頼むと1298円だから400円ほどオトクだ。ほかに、肉5本(792円)、野菜5本(792円)、海鮮5本(1012円)などもある。

「コロナの前は、夜8時になると店の外に人があふれていました。皆さん、やっぱりB級グルメが落ち着くんですよ。おいしくて、安くて、楽しめる。リラックスできる店づくりは、大切ですね」

 牛ほほ煮込み(748円)や赤ウインナー素揚げ(418円)、奈良漬クリームチーズ(528円)など、一品料理も飲んべえの気を引くものばかり。煮込みはしっとりと軟らかく、丁寧な仕込みが感じられる。

B級グルメでも手抜きはもちろんなし

 B級グルメでも、手抜きはもちろんなし。どんな業態であれ、ヒットの秘訣はそこに尽きるだろう。

「だから、また行きたくなっちゃうんです」

 店の雰囲気を思い描いたのだろう。関西人の敏腕料理人の顔がほころんだ。

(取材協力・キイストン)

■くし家本店
東京都港区新橋3―25―21
℡03・6432・0188

■ブロスダイニング 料理の基本となる出汁(Broth)、料理人に重要な師弟関係の(Brother)、そして食事をする場所(Dining)を合わせた造語が社名になっている。和食の「SHARI」やカジュアルイタリアン「SERAFINA」などのほか、鉄板焼きなどの業態も。

▽鈴木一生(すずき・かずお) 辻調理師専門学校を卒業し、なだ万へ。当時の料理長が、テレビ番組「料理の鉄人」でおなじみの中村孝明氏。香港勤務を経て、中村氏が運営する「中村孝明有明店」の立ち上げに参加し、総料理長に。その後、ブライダルなどを手掛けるノバレーゼにスカウトされ、広島の料亭「三瀧荘」の料理長などを歴任。2019年、ブロスダイニング社長に。

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