岸田首相“脱安倍・麻生傀儡”シフト鮮明で…「3A」支配に深い亀裂か

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 8日、自民党の総務会が開かれ、麻生太郎前財務相の副総裁就任が正式に決定した。岸田総裁―麻生副総裁―甘利幹事長のラインが出来上がった。これまで「3A」と称され、自民党を牛耳ってきた安倍晋三、麻生太郎、甘利明の3氏のうち、安倍元首相だけラインから外れた形だ。すでに「3A」には亀裂が生じていると報じられている。新体制によって亀裂が深まる可能性がある。

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 ◇  ◇  ◇

 岸田新政権の人事の特徴は、甘利カラーが前面に出ていることだ。甘利氏に近い議員が次々にポストに就いている。山際大志郎経済再生担当相も、小林鷹之経済安保担当相も、田中和徳幹事長代理も甘利人脈。さすがに、安倍元首相の出身派閥“細田派”からは「これじゃ甘利内閣だ。甘利がやりたいようにやっている」と不満の声が上がっている。

 その一方、意向が反映されなかったのが安倍氏だ。「高市幹事長、萩生田官房長官」を求めたが、どちらも蹴られたという。しかも、細田派からも抜擢はされたが、松野博一官房長官も、福田達夫総務会長も、高木毅国対委員長も、安倍氏とは距離がある。「3A」のメンバー甘利氏が幹事長に就いているのに、意向が通らない。安倍氏は一連の人事に苛立ちを募らせているという。

「3A」が「1A」と「2A」に

 これまで「3A」のタッグは鉄壁だとみられていたが、いったい、なにが起きているのか。

「念願の幹事長に就き、権力を握った甘利さんが暴走しているという見方もあります。ただ、麻生派に所属している甘利さんは、派閥領袖の麻生さんに逆らうことはない。2人は一体でしょう。実際、“甘利人事”によって、麻生派には満点の人事になっている。“3A”が対立しているわけではないでしょうが、岸田政権の誕生によって、立場が1Aと2Aに分かれた。いくら盟友だとしても、麻生さんも甘利さんも、自分たちの利益を削ってまで安倍さん個人のために動くことはない。そもそも、安倍―麻生の結束が固かったのは、二階前幹事長や石破元幹事長など“共通の敵”が存在したからです。でも、二階さんも石破さんも弱体化してしまった。共通の敵がいなくなったことで盟友関係に変化が起こることは十分あり得ることです」(政界関係者)

 岸田首相も“脱安倍・麻生傀儡”にシフトしようとしている可能性があるという。

「岸田さんは、本音では安倍さんに恨みがあるはず。安倍さんからの禅譲を期待していたのに、昨年の総裁選ではハシゴを外され、安倍さんは“菅支持”に回った。今回の総裁選でも、安倍さんは“高市支持”で動いた。どう考えても岸田さんを軽く見ている。もともと、安倍さんと岸田さんは、政治信条が百八十度違う。巧妙に“安倍離れ”を画策しても不思議はありません」(自民党事情通)

 もともと「宏池会」出身だった麻生氏は、「大宏池会構想」を掲げ、岸田派に合併を持ちかけていた。この先、「3A」支配の構図が大きく変わる可能性がある。

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