「氷河期世代」で下剋上できる人の転職術 その思考法から実践まで

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 40代を中心とした氷河期世代。来年度には公務員優先30万人採用プロジェクトも終了予定で、コロナ禍でも非正規雇用者の大量解雇などで割を食った。「マンガ このまま今の会社にいていいのか? と一度でも思ったら読む 転職の思考法」(ダイヤモンド社)の著者で、キャリアデータプラットフォーム事業を手がける「ワンキャリア」の取締役、北野唯我氏に氷河期世代でも下克上できる人を聞いてみた。

 ◇  ◇  ◇

 サントリーHDの新浪剛史社長が「45歳定年」発言をして議論になっている。この世代の彼らは団塊ジュニアやそのひとつ下の世代のポスト団塊ジュニアと呼ばれる。親はまさに高度経済成長期を経験し、「大企業」や「社名」を重視してきた。だからこそ親子ともども、時代の流れで大企業に就職ができなかった“無念”に縛られている。

 まずは、考え方の方向転換が大事だ。

「40歳以上でも継続して活躍していたり、転職に成功している人は、会社への概念を変えています。たとえば今の時代、大手の自動車メーカーに入るより、大手の自動車メーカーに自動運転のサービスを提供する会社に入った方が最先端の仕事に従事できます。とくに経歴に自信がない方ほど、年齢問わず一斉スタートできる新事業の会社や業種の方が入りやすいし、活躍もできます。そこを意識するだけで、就職先も入社の機会も広がります」

 最近は、若い世代の人気就職先も「ハードからソフト」に転換した。

「触れられるものではなく、それを生かすための技術に魅力を感じているのです。聞いたことがないからとカタカナの会社にアレルギーを起こさないで会社探しをしてほしいです」

 その昔、松下電器はパナソニック、東京通信工業はソニーにカタカナ化している。今は聞いたことのないベンチャー企業でも、退職する頃には大企業になっている可能性が大いにある。

 また、正社員として長年勤めていなくても「短期間・非正規」でも複数の業界を経験していると得な場合もある。

 もし、前職で「SDGs」や「スマホゲーム」などはやりものをかじっていたら、経験は1年でも3年でもアピール材料になる。

「転職を考えたなら棚卸しをすること。半年、1年単位でやってきたことを書き出してみましょう。このときも40代以上の面接では『技術資産』を見られます。つまりスキルや経験のことです。はやりものであれば短期間でもアピールになります。中には、『総務経験が長く、資料コピーや日程調整など事務をやってきて書くことがない』といった相談もあります。その場合は、業務を抽象化して考えましょう。たとえば、技術としては資料コピーを1日数十回していたら、効率を考えてやってきたと思います。業務改善能力があると言い換えられるし、役員や社内行事の日程調整をしてきたなら調整能力が身に付いたと表現できるでしょう」

 非正規やアルバイト経験者だから持っているスキルもある。それは「マネジャー経験」だ。

「一般論ですが、マネジャーやリーダーに手を挙げるミドル世代は重宝されています。なぜなら、今は出世欲がない30~40代が多いので、社員でもなり手がいない。やる気のある40代が来たら、好意的に見る企業は少なくないと思います」

採用チャンスを広げるために経歴は細かく書く

 今いる会社でパッとしない人が、転職市場では価値の高いことがある。配置されているポジションが悪いだけで、ポジションがハマれば活躍できる可能性がある人だ。

 それを転職先に見抜いてもらうためにも、履歴書には事細かにやってきたことを書くべきだ。

「実際、私のチームで働いているデザイナーの40代の女性はもともと総務部を希望して応募してきました。専門学校を出て、デザイナーとして約10年働いた後、出産を機に時短で働ける事務系の職種に就いていました。面接時の印象ではデザインが好きで、実力もありそうだったので、デザイナーとして採用しました。ブランクがあったり、仮に数年しかやっていなくても、経歴書の部署の仕事に興味を持たれて採用されるケースもあります」

 とくにエンジニアやデザイナーのような技術継承のできるスキルがあれば、若手が活躍する会社でリーダーとして採用される可能性があるという。

 一方、40代の転職でもやりたいことを優先していいのか。

「デザイナーの女性もデザインの仕事は好きでした。やりたいことを生かすベースの経験が少しでもあればアピールしてください。ただ、IT業界や不動産、金融、メディカルのように同業種転職が頻繁な業界は、30代前半までに経験がなければ40代になって挑戦するのは厳しい。また、年齢を気にしないのは、出戻り社員を受け入れている会社や若い世代が多い会社です。年下から学ぶ姿勢をアピールすると企業側も受け入れやすいです」

転職エージェントの見分け方

 自分の経歴を棚卸しして、行きたい業界・経歴を生かせる業界が決まったら「転職の方法」だ。転職エージェントを使う場合、口車に乗せられて人が集まらない会社やミスマッチの業界に入社することもある。結果的にすぐ退社となれば本末転倒である。

「必要以上に『早く役員面接に進みましょう』とか『この求人は条件がいいから早く決めた方がいい』と言われたら立ち止まってください。まず、面接のフィードバックのときに企業側の評価を聞いて、良かった点だけでなく、『先方は私の経歴のどこに懸念点を持っていましたか?』と尋ねてみてください。とくに若い世代よりも年齢や経歴の面で気になることは必ずあるはずですから、回答に企業や転職エージェント側の本音が透けて見えます。また、案件ベースで『良い、悪い』ではなく、自分のキャリアにとってどう生かせる会社なのかを説明できるか。そして、『他に良い求人案内はありますか?』という要望にとことん付き合ってくれるか……も大事です。転職エージェントが自分のキャリアを考えてくれているか、『売り物』として考えているかが分かります」

 荒波を越えてきた氷河期世代だからこそ、うまく立ち回りたい。

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