<8>台風が襲ってきたその時に備える 避難と準備「タイミング別」に総まとめ
9月は防災月間で、台風シーズンのほぼ中心時期でもある。それを象徴するように台風14号は、日本列島各地で被害をもたらした。今回は、台風の事前の備えについて、平時から台風発生・接近・襲来時までの3段階に分けて点検しておこう。
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①平時=側溝を掃除して持ち出し品を点検する
まず平時の備えだ。台風は、ある程度進路を予測できるが、台風シーズンの前に次のことをチェックしたい。
まず家の周りは、側溝や排水溝の掃除をする。ゴミがたまっていると、排水が滞り、浸水の一因になる。屋根、壁、敷地周囲の塀については、暴風雨に備えて補強しておくことが大切だ。庭の植木なども暴風雨に耐えうるかどうかチェックしておくといい。
家の中でも備えが必要で、非常持ち出し品や備蓄の点検を。停電に備えて懐中電灯とその電池や蓄電池などを用意。蓄電池があればスマホの充電もできる。災害時の情報収集には、携帯ラジオやワンセグテレビが便利だ。
もちろん、飲料水と食料は不可欠。持病の薬や応急処置のための医薬品、コロナ禍だけに1人7枚程度のマスクと手指消毒剤、ウエットティッシュなども欠かせない。すべてまとめて持ち出し用のリュックなどに入れておく。停電すると、キャッシュレス決済が使えなくなる。現金もある程度必要だ。
重要なのは「最悪の事態」を想定して準備すること。台風の場合は、自宅などの浸水や長期間の避難生活が最悪のシナリオで、それを具体的にイメージしながら対策を考える。家族構成によって必要な品目が異なるから、とにかく具体的に考えるのが大切だ。
②発生後=家族で作戦会議。予定は共有する
台風発生後は、天気予報で台風の予想進路、大きさ、強さについて情報を得る。それをベースに家族で作戦会議をしておくといい。
たとえば、台風発生から向こう1週間の家族の予定を共有し、その影響が出始める前に何をするか、影響が出始めるころのスケジュールはどうなっているか、避難についてはどうするか、といったことを大まかに考えておく。これができるのは台風の予想進路が、ある程度信頼できるようになっているためだ。
最寄りの学校や公民館などに設置される避難所までの「避難経路」も確認しよう。その途中に橋があるなど、避難経路自体にリスクがあれば、別の避難所やホテル、旅館を活用するなど分散避難的発想も重要になる。
暴風域のエリアなどによっては、隣接自治体に避難する方が安全なことも考えられる。行政区域だけでなく、自然の地形的要素も考慮してシミュレーションしておくことが重要だ。
暴風が予想される日に出張などで普段と異なる地域での滞在が予定されているケースは、職場や取引先の方針を確認しつつ、スケジュールの変更も一考だろう。それが難しければ、個人として備えておきたい。
まずは、出張先の事業所や宿泊先のホテルの立地の確認だ。出張先の自治体のハザードマップを調べ、用務先の周辺で洪水などの浸水が想定されているか、さらに、土砂災害警戒区域の有無など土砂災害リスクについても確認しておくとよいだろう。
③接近時=飛来物対策を丁寧に行う
台風の接近時は、自宅や職場の内外の対策を段階的に強化する。もう一度周りを確認し、排水溝にゴミはたまっていないか、倒れそうな植木はないか、ゴミ箱や自転車、看板など飛ばされそうな物はないか、周りから飛来しそうな物はないかなどをチェックする。
ベランダに風で飛ばされそうな物があれば、屋内に収容しよう。雨戸もしっかりカギをかける。雨戸がなければ、飛散防止フィルムを貼ったり、厚手のカーテンやブラインドを念のため下ろしたりして、飛来物に備えるのだ。台風被害の多い沖縄では、接近前にはこの飛来物対策が丁寧に行われる。
④イザ=予想進路と日没時刻の確認で早めにGO
気象情報はこまめにチェックし、自治体からの避難情報にも注意する。「高齢者等避難」が発令されたらいよいよ「実戦モード」に気持ちを切り替える。前回紹介したように、避難に時間を要する場合は速やかに避難を開始。避難は早い方がよい。「高齢者等」の避難に時間を要する人でなくても、「避難指示」が発令されたら全員直ちに避難しよう。プラスアルファで大切なのが、日没時刻の確認だ。台風接近時は雲や降雨によって、いつもより早く暗くなる。これに停電が重なると、懐中電灯だけでは移動が難しい。明るいうちに、安全に避難するには、台風の予想進路と日没時刻を照らし合わせて、早めの避難が重要なのだ。
気象庁のホームページには、台風や集中豪雨から身を守るための「自分で行う災害への備え」が掲載されている。注意点が分かりやすくまとまっているので、それも参考にするといいだろう。