電子式「ワクチンパスポート」はツッコミどころ満載 デジタルはファシズムと結びつくと獰猛な牙をむく
国民が知らないデジタル庁の恐ろしさ(2)
「デジタルの利便性」という言葉に惑わされると、あっという間に個人のデータは吸い上げられ、プライバシーを奪われる。それを超える公共性があるというなら、最低限のルールが必要だ。きちんとした情報公開、国民によるチェック機能、そして、何よりも政治への信頼だ。それがない時にデジタルはファシズムの道具になる。近著「デジタル・ファシズム」(NHK出版新書)で警鐘を乱打した国際ジャーナリスト、堤未果さんの緊急寄稿第2弾。
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9月1日に発足したデジタル庁は、6日に官邸が開いた初の「デジタル社会推進会議」で、デジタル社会構築に向けた新重点計画案に、新型コロナウイルスワクチン接種歴証明のための電子式「ワクチンパスポート」を提案した。スマホアプリ搭載型で、提示すれば、県をまたぐ旅行や飲食店への入店制限が緩和される。感染拡大防止と国内経済再開が両立できる画期的計画だというが、本当にそうだろうか。デジタルという新技術を管轄する省庁の初事業としては、ツッコミどころが多すぎて、むしろ同庁の真の目的が見え隠れするような案件だ。